『さらば財務省!-官僚すべてを敵にした男の告白』

上京した。田舎なら直売所、東京なら書店と、行動範囲は限定的。今日もちょっと時間が余ったので友達に会おうと思ったものの雨模様だったり、列車の不通等でお互い面倒になって、書店で長時間過ごした。で、友人が購入した分の書籍も預かってきたので、新幹線の中で自分で購入したのより友人のを先読みした。その1冊がこれ。少し前に新聞広告で見て印象には残っていたが、自分で買ってまで読みたいと思ったわけでもない。エリート官僚の世界も政治の世界も経済も知らない自分がどう判断していいのかとなると、さらに知りません、ということになるが、納税者の1人としてはそうも言ってられない。著者の高橋洋一さんの執筆動機もそこにあるらしい。読み始めは、まず不快感に襲われた。それは内容、つまりこのタイトルになっている組織に所属する優秀な官僚の方々の実態へのそれというだけでなくて、著者に対しても。だって、何のかんの言っても同じ穴の優秀な官僚であって、差異は内輪話しでしかなくないか、みたいなところ。それと、多分、表現というか本の作り方の好みの問題だと思うけど、もうちょっと書きようないかなあという点で。著者が意図しているとは思えないのに、どうも感情ばかりが前面に出ているように感じてしまう。なんだか残念な気がした。

それと、著者が官僚だから政治の決定を忠実に実行する立場であるという自己言及は分からなくないけど、読者という立場になると、どういう思想の持ち主なのかを知りたいし、それが感じられないと、一方的な主張をしているようで物足りない。登場人物の描写が一面的で、描写の視点というのは、省庁の利益と自己保身というスポットライトで照らすのみで多面性がない。で、これが本当だとしたら、世にも恐ろしい集団であることは間違いないと思うけど、で、本当にそうなのかなあ…、いやあ怖いなあ、そうなんだ、と100%思えないのは(98%くらいは思っているが)、一方で小泉、竹中を手放し礼賛してアメリカの経済学者が素晴らしくてと、こちらも一面的に感じられて、もうちょっと条件をつけるなり、評価できる点に関して限定して説明してくれないと、官僚批判の説得力まで低下させてしまう。でも、官僚の巧妙さに関しては細かい点まで分かった。頼むから増税より無駄を見直しして欲しい。それは同感。最後の方は、自分がこの本のトーンに慣れたのか、最初の不快感は減った。ま、しかし優秀な方々の眼中には、頭脳不明晰で低賃金の庶民は眼中にないんだろうな。だったらあの霞ヶ関の立派なビルに篭城して自給自足で自己完結していただいていただきたいものだ、堂々と国民不在で胸はればいいじゃん、と、つくずくと思った。自分で買わなくて良かった、お口直しをいただきたい感じ。
by kienlen | 2008-04-10 23:42 | 読み物類 | Comments(0)

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