田中森一×佐藤優『正義の正体』

昨日日記を書けなかったのは、この本のせいだった。読みかけの本がだんだんはけてきたので積んであった中からこれを手に取ったらやめられなくなった。すべきことはある、と思いつつもやめられなくて、すべきことを先延ばしにして店番に出る直前まで読んで、ちょっと残った分を店で読む。読後感が憂鬱でもなくさわやかでもなく、芯をいただくというか、背中に1本筋を通していただいたような気分になる。面白さの1番の理由は、現象から何を読み取るかという時の「何」を具体的に説明しているし、ごまかしがないし、そして私が何より好きなのは、自分の立場を明らかにしていることで、そのあたりの説明は行き届いている。つまんない逃げ道を作ってなくて、そして押し付けがましくない。美的なまでに明瞭。そして、本のタイトルになっている「正義」とは違う意味での正義を両氏が持っていると感じられて、それがあるからこっちもシャンとした気持ちになれるんだろうと思う。

物の見方のハウツー本として子ども達に読ませたいものだが、ウチの子ではちょっとムリだろうなあ。本当は高校生くらいが読んでもいいと思うのだが。ただしこの本の前に『反転』と『国家の罠』は、最低限読んでおかねばならない。プレイボーイの連載対談に加筆したものだそうだ。裏表紙の裏にはこう書いてある。「国策捜査、組織、獄中生活、裏社会…。国家を根底から揺るがす19時間の全対話」。愛国者でもあるお二方は、今日本の国が揺らいでいるという危惧を抱いている。その揺らぎがどういうものであって、どこからきているのか、ということが、国策捜査の対象になった体験と卓越した知識とその処理能力によって語られるわけだが、それでどうする、というところが、また泣ける。田中森一氏は上告が棄却されて、すでに収監されているのだが、貧しさのために学業を諦める子ども達のための奨学金制度などを立ち上げている。闇社会から汚れた金を集めて社会貢献につなげるといい、というアイデアを佐藤氏が提供している。50億くらいは簡単でしょうと。収監を目前にその気になる田中氏。勉強法などもあって学生向けでもあるのは、そうか、プレイボーイの連載だからか。不満足感が残らない本だった。
by kienlen | 2008-04-09 09:29 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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