あの頃の食堂であの頃いなかった人と

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いい天気だった。善光寺に行く用事があって、その用事が終わって、あんまりいい天気だったので少し散歩することにした。視線を感じたから見たら知り合いのタイ人女性だった。「パチンコでるようにお参りしたの?」と聞くと「違う、違う、お店お客さんないからお願いします、お父さん病気お願いします、だよ」と言っていた。お寺に行く習慣のあるタイ人は日本でもそうしている。こちらにすると、高校の時の通学路でもあってあまりに見慣れたお寺だが、観光客気分で写真も撮ってみた。年齢のせいか昔を思い出すことが多くなったようで、高校の頃にカキ氷を食べによく入った店に、突然入ってみたくなった。何十年ぶりだ。改装したようですっかりきれいになっている。で、また突然、珍しく、ひとりもつまんないなという気分になって同窓の友だちに電話したら仕事だったから夫に電話した。「善光寺に来て」と言ったら、人任せに徹する人らしく来た。「高校の頃によく行った店でラーメン食べる」と言うと一緒に入ったが「イム(満腹)」ということで料理には興味なし。「1人分だけ注文というわけにいかない」と言うと「食べたくないから外に出る」と言うので、しょうがなくラーメンとおでんを注文して1人で全部食べた。
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2人でいても話すことは何もない。何しろ共有できる過去はないのであるから、こっちがあの頃の思い出に浸ったところで、夫にとっての脳裏の風景はタイの農村である。そして、若いカップルだったら相手への気遣いがあるし、なんで相手は無言なんだろう、何か機嫌悪いのか、アタシが突然呼び出してムリさせたかしらん、ああどうしよう…なんてなるのかどうか知らないが、心底平然ともしていられないように思うが、年季が入るともちろんそういうことはない。お昼は食べてきたし空腹だったわけじゃないのにラーメンとおでんをモクモクと食べる。車でなければビールもいくところ。自分だけしか食べないのに夫に伝票渡すわけにもいかず払おうとして、息子の部費で今朝5000円渡して財布空っぽだったことに気付いた。でも言えない。小銭を集めて1050円かろうじて払う。出る時に「こんな時間に食べて」と夫。3時のおやつにしては確かに重たい。「天気がいいし散歩する」と夫。せっかくだから一緒に歩こうかと思って数歩進んだが面倒になって「帰る」「うん」でデートにもならず。でも春の気分は味わった。ちなみにラーメンの味は、今時には珍しいくらいにしょっぱくて、思い出の中に留めておいた方が良かった。
by kienlen | 2008-03-27 22:12 | 男と女 | Comments(0)

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