横山秀夫『真相』

しばらく前に図書館に行ったついでに本を借りた。ただでさえ少しの収入がますます減っているから、本の注文を控え気味にしている。社会科学系を2冊と娯楽用に横山秀夫の『真相』という短編集を選んだ。前者は読みかけで多分挫折。『フリーエージェントの時代』というのは、出だしはちょっと面白そうで期待したが、話しがクドクドしていて進める気分が萎えた。それでこっちのを就寝前に読み始めたら止められなくなった。つい他を差し置いて読んでしまった。なんだか人物が類型化され過ぎているように感じる部分もあったけど、横山秀夫は好きなので大目に見る。そして怖くもある。日常のちょっとした隙間に挟まって身動きできなくなったり、思いがけない方向に行くことは誰にでもありうるからリアルで、気が重たくなる。全く自分は娯楽として見たり読んだり聞いたりできない人間であることを思い知って、我ながらつまらなくなる。何でも自分に引き寄せるというのはいかがなものか。だから楽しめるものの範囲が狭いのかもしれない。しかし性分を今さら変えられないし、特別はた迷惑なわけでもないし。

しばらく前に読んだものとしては『世界一身近な世界経済入門』というの。冬幻社新書。著者は門倉貴史さんという方。高速バスに片道3時間乗る時の車中用だったが、半分は眠っていたから読みきれずに少しはみだした。コーヒーとか鮨とか原油とかレアメタルなどを入り口にして世界経済を見てみましょうね、というタイトル通りの本で予想と違わなかった。各章の導入が良雄さんと佳子さんというカップルの会話で始まるのだが、これが女がネエネエって態度で男が教えてやる態度で、いくら何でもここまで安易にしてくれるとひきつって笑えるけど、もっと普通に笑える方がいいと思った。しかし横山秀夫のも男女関係はひじょうに保守的というか安心するところにおさめているのはやっぱり故意なんだろうか。もうちょっとはずしてみてくれると面白いと思いつつも、ここまで型にはまっているから絶望的なリアルさは避けられているのかもしれないなあ。どっちかというと今まで読んだものの方が好みだった。図書館と購入の違い。
by kienlen | 2008-03-27 20:47 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
プロフィールを見る