『フリーペーパーの衝撃』はなかなか

在宅仕事をすべき日だった。予定外に携帯電話を買いに出て、運転していった夫が時間の余裕がなくなって私を店に残して行ったために歩いて帰宅で時間がかかって調子が狂って仕事に影響した、なんてのはすべて単なる言い訳であり、ああ…と思ってぐずぐずしているうちに時間がたった。あんまり無為に過ごすのもな、と思い直しというか開き直りで本を読んだ。昨日読み始めて意外な面白さだったもの。著者は稲垣太郎さん。集英社新書は文字が大きいのか字間行間が大きいのか、スカスカでお得感はないが、今風のテーマが多いようには感じる。これなんか最たるものだろう。内容はタイトル通り、急激に普及しているフリーペーパーの正体と背景を分析して、今後のメディア状況を見通してみようというものだ。読みながら思い出したのは『なぜ通販で買うのですか』という、私がヒイキにしている『通販生活』の斎藤駿氏の著書だった。通販の歴史が概観できるようになっていて知らないことだらけで意外な充実ぶりだった。これはそれのフリーペーパー版、なんて言っていいのかどうか自信はないが、そんな印象。

まずフリーペーパーの開拓者たちの事例が挙がっている。この業界もやはりモデルは外国にあったのだ。グローバルな展開を遂げているのがスエーデンやノルウエー発のビジネスモデルだというのはびっくりした。北欧経済が好調であるとは、このところよく聞くようになったが、ここで紹介されているインタビューからも、私たちが一般に享受する経済やビジネスに関する情報が、実はある側面でしかないのではないかというところを実例をもって教えてくれる。日本でのフロンティアはいずれも異業種からの参入。ジャーナリズムや文学というよりはビジネスありき。ただし北欧発で各国に普及著しい日刊のフリーペーパーへの障壁は高い。そのあたり、日本のメディア産業のフリーじゃないぶりが事例から想像できて興味深かった。既存のメディアとフリーペーパーの関係がどうなのか等、いろんな示唆がある内容だが、ひとつ私がついうなずいてしまったのは、企業の動きだ。フリーペーパーというのは、まさに自由に誰でも発行できるわけで、企業が既存のメディアを通さずに直接に消費者を囲いこむ手段になる、という点。どういう形であれ新しい活字文化興隆の一助となればいいのか、フリーばっかりじゃ何か困るのか、注目したいところ。
by kienlen | 2008-02-04 22:12 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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