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最高、山口二郎講演会

山口二郎さんの講演を聴いた。昨日のこと。県の医師会の研究会だが、外部から招待された友人がついでに1人分余計に申し込んでくれて聴講することができた。ほんとにありがたいことだ。財産は友であると日々感じている。私が日頃から山口二郎が好きだと吹聴していたせいがあるかもしれないのだが、こういう意義のあるものはどんどん公開で行っていただくと主催団体への好感度アップにつながる。私は昨日から俄然県医師会のファンになってしまった。1時間という短い時間の予定だったから、これではどこまで話していただけるのか、と実は危惧していたのだが、壇上に上がったとたんから引き込まれた。話しのテンポが心地良い速さであるし、無駄がなくて面白くて真摯で、こんなに充実した講演を聴ける機会は多分めったにない。期待以上でした。肝心のテーマだが「社会保障をめぐる政治情勢」というもの。講師の勤務先である北海道大学が科研費で行った世論調査の一次データを分析して、世論と政治情勢を絡めながら進めていくという構成。何しろ日頃目や耳に入る情報って「一体どこに根拠があるの」ってのが圧倒的でイライラするので、こうしてちゃんと手続きを踏んだデータを元に話していただけると安心して聴くことができる。

まずは小泉改革の遺産であるが、調査によると「格差が広がった」が圧倒的多数であり、全体に国民からは負の評価が高い、という具合にいくつかの調査項目と結果をみていく。そして見えてくるのは国民の多数が望んでいるのはアメリカ型の小さな政府ではなくて社会保障の充実したヨーロッパ型という結果になる。そこで困ったことになるのは自民も民主も同じ。自民は都市と農村、金持ちと貧乏人の格差をなくすような政策を取ってきたのに小泉という覚せい剤のおかげで本来の役割が逆転したような格好になってしまった。民主は民主で生活第一なんて掲げてきたわけじゃないのに、前回の選挙ではそういう役割で成功したわけだが、問題は双方ともに自覚がないままでいるのが日本の特徴である、というお話しは実に明快で怖かった。時間切れで半端に終わることなくレジュメ通りに最後までいってくれた。現実的な対応のヒントも示してくれた。医師会は、これまでのように自民党という政党を経由して自分達の政策を実現させるのか、政権交代を視野に、政策提案型に方針を転換していくのかが迫られる。広い支持を得るためには1歩後退は受け入れて2歩前進するのがよろしいとか、教育や医療の社会保障を国がやるか民間がやるかの違いはあっても家計から支出する金額は同じであるとか、財務省の問題とか、根拠のない風説に依拠した政策の問題とか、もう何から何までうなづいたのだが、結局のところ小泉人気に帰結した変化の時期に日本にいなかったので、ホントあの時何があったの、ってまた感じた。
by kienlen | 2008-01-27 16:11 | 社会的話題 | Comments(0)

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