これは最高!『文章読本さん江』

まだ読み終えてないが、あまりに楽しいので誰かに話したくなる。こういう時、家族に本好きがいて打てば響く反応で会話が弾んだら、外で話す必要ないし、本気で引きこもりができるはずなのだが、幸か不幸かそういうことは現在も将来もあり得ない。私が何を読もうが、読んで泣こうが笑おうが誰も何の関心もない。食事しながら本読んでクスクスしていると、息子なんか本当に気味悪そうに見る。病気だと勘違いする。間違っても「ねえ、そんな面白い本なら僕も読みたいな!ちょっと見せて」って言うことは絶対にあり得ない。どうしてこうなってしまったんだろう。育て方が悪かったんだ、父親の、と思うことにしよう。以前から読みたいと思っていたものであり、それを文庫で発見したので奥付も何も見ないで買ったのだが、よく見たら昨年末に文庫になったばっかりだったのだ。お正月読書用だったんだ。従順に実行している。今更ではないが、斎藤美奈子さんは最高に痛快で、声に出して長時間笑える本である。簡単に言うと、大量に発行されている「文章読本」系列の本を読み解き、その背後に広がる文学界の闇を照らし出してしまう、というもの。文学界といっても、今のところは文学者とかジャーナリストとか、つまり文筆業界のエリートの方々の傲慢さとか差別意識とか、そういうもの。

フツウの文章読本は名文を次々と引用して、これは素晴らしいと褒め称える形式であり、この本は、その引用部分を当の文章読本からしているから、全体がパロディのようになっている。で、その引用だけでも笑えるなんてもんじゃない。元本を読みたくなって、何かないかな、せめて昔好きだった三島由紀夫の文章読本くらいないかな、と本棚をなめるように見てみたがなかった。ならばかなり具体的に批判を浴びている本多勝一のならあるかと思ったが、他のはあるけど文章読本はなかった。でも、ついこの間参考に読んだ朝日新聞元記者の方の文章の書き方本は一時期ベストセラーになったものだそうで、引用も複数箇所されていたのが、自分にとってはせめてもの救いで、少しイメージできた。これがなかったらそもそも文章読本って何かが分からなかった。多分それが今まで読まずにきた理由だ。それにしても、自分が感じていた「一体誰がこういうものを読むのか」の答えがここにあった。内側と外側を自在に行き来しながら分析していく手法、緻密なのにそれを押し付けない作り方は素晴らしいと思うが、ただかなり執拗なので途中で飽きちゃうのもある。自分にとってはテーマがアニメなんかだと、目の付け所は分かるし面白いけど元になっているのを知らないから読み通すのがキツイが、これは最後まで一気にいける。まだ残っているが、すでにもう満足感に浸っている。
by kienlen | 2008-01-14 10:32 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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