『小泉純一郎の軍師飯島勲』読んだけど…

この本をやっと読了した。自分で買ったわけじゃなくて、友人が貸してくれたもの。フツウの文庫本3冊分くらいの厚さがある上に、ドキドキする面白さは皆無、知識欲を刺激されるわけでもなく、かといってものすごく退屈というわけでもなく、なんだこれ、って思いながらも読み終えたということは、借りた本だからという義務感みたいなもの以外に、何か興味を覚える点があったのだろう。あったとすれば自分が知らない政治の世界への興味と、それから、著者の大下英治氏の姿勢への興味の2点だと思う。第一の点については、部外者から見ていると、政治というのはきっと、誰を身内として誰を外部者とするかという駆け引きそのものなんだろうと思った。もっともそういう論理の働かない場というのはないわけで、別に政治の世界が特殊とは思わない。でも国民がすべて有権者かその予備であり、身内にも部外者にも分類されない人間がいないという意味では特殊なのだろう。ここで選挙権を持たない外国籍者がどういう立場になるかは保留ってことで。

それで小泉元首相という人は、ここ何十年かって意味での従来の身内-部外者関係を逆転させたということになるらしい。これを読んだ限りでは。で、それはもちろん共感を得る。家族関係に悩む人は「こんな家族制度は崩壊してしまえ」と思うだろうし、男女関係に悩む人は「性別なんかなくなれ」と思うかどうかは知りませんが、私だってしょっちゅう「こんな従来の仕組みは崩壊せよ」と思う。だからといって改革したからってすべての人に良くなるなんて幻想はこれっぽっちも抱いてないので改革改革を叫べば物事うまくいくとも思えないから小泉を支持したことはないけど、でも怒りがこみ上げてくる時に、いきなり「小泉の気持ちが分かる」なんて思いがフツフツしてくると、ふと我にかえって、ホホウ大衆の気持ちをつかむ天才ってこういうことなんだと思う。第二の点については、これ書くの大変だったんじゃないかなあって余計なお節介的感覚。だって、あまりに中身がない。アレしたコレしたの表層ネタはわんさかあるけど、なぜやった、その人の考えは、思想は、は見事に欠落していて、身内と認識したもの以外には非情っていう第一の点、よって結局は従来の政治の論理じゃん、ってところを行き来するだけで、書き手が最も興味を持つんじゃないかって想像してしまう部分が大きくえぐれているように感じたからだ。ご苦労さんでした、って感じの本だった。その疲労感を読者に分け与えるのは意図したのかしないのか、ちょっと興味ある。
by kienlen | 2007-12-29 13:11 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31