最低限必要な知識『戦後アジアと日本企業』

睡眠前読書で読み終えた本。いつ買ったのか覚えてないが発行は2001年。多分以前にも読み始めて挫折していたと思われる、開いた形跡がある。著者は小林英夫先生。テーマとしてはとっても興味ある分野なのだが、1度挫折したのは、多分、文章の平坦さに退屈したんだと思う。こういうものに面白さを求める方が間違っているとは思う。しかし、資料で必読の場合は線引きながらどうしても読むわけで、その時には表現の如何は気にしないけど、趣味で読む時は読みやすさとか面白さというのを求めてしまう。で、岩波新書って、そのへんがこう半端な感じがして、このところ読みにくく感じている。新書の役割というか、求められるものが変わってきて、私も時流に乗っているってことかもしれなくて、そう思うのはなんだかしゃくな気もするが、なんて…何を言い訳しているんだか。とはいえありがたい視点を含んでいることは確かです。それは、日本企業やその他の国の企業のアジアでのプレゼンスの大きさの背景に何があって、歴史的にどう変遷してきたかって点。何のかんのいいつつ、興味深く読んだのだった。

帯は「変動するアジア経済、その底流を探る」。まさにそれ。私がタイから帰国したのは1996年で、翌年にタイへ行った時が、ちょうどタイに端を発したアジア通貨危機の始まりで、それまで米ドルと連動していたからそんなに変動がなかったバーツが突如として変動相場になっていて、銀行には正式なレートが表示されていなかった。この本は、このようなアジアにおける経済的大変動を論じたり、対応策を提示する際に、これまでの蓄積、つまり歴史的視点があまり考慮されていない、という問題をまず提起している。そこで、戦後補償という役割からスタートした日本企業のアジア進出から今日までの歴史をたどっているわけだ。タイへの日本企業の進出ぶりはすごかったが、私が経験した時期というのは、ちょうどアジア経済圏の発展とバブル期ということになる。70年代に直接投資が盛んになって、次の進出ラッシュの時期で、下請け企業が出ざるを得なくなって日本では空洞化が進んだ。経済の知識のない私のような者にも分かりやすく、最低限必要な知識を授けてくれる。やはりありがたい、いい本なのだった。
by kienlen | 2007-12-16 19:41 | 読み物類 | Comments(0)

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