謎を呼ぶ「よろしくお願いします」

日本の高校に通っているタイ人と話していたら、何かの折に日本語の「よろしくお願いします」に相当するタイ語を発した。それでずっとくすぶっていた疑問を思い出した。いつも尋ねてみようと思って忘れているもの。そういえば私の場合は夫がタイ人なのでタイ語の疑問は彼に聞いてもいいのだが、あまりに会話がないので彼がタイ人であることも忘れそうになる。今朝も気付くと家にいたので「いつからいるの?」と聞いたら「ずっといる」と答えていた。たまに交わす会話は会話になっていない。「ねえ、そのタイ語、普段使う?」と高校生に尋ねると、彼女はためらわずに「使わないよお」と言う。「今まで使ったことはあるの?」と聞くと、こっちはしばらく考えてから「ない」。彼女は高校1年までタイにいたから、普通に使う言葉ならとっくに使っているはず。私にしても、タイで7年働いていたから、日本語における「よろしくお願いします」の地位を占めるような言葉なら、ビジネスの上でも使わないわけがないが、1度も使ったことがない。「でもこれが『よろしくお願いします』って意味だってことは知ってます」と高校生。それは私も同じなんですが、一体どういう状況下で使うかが分からないのだ。

それで状況設定してみた。「ほら、日本の高校に転校して自己紹介する時、言う?」「えーと、名前言って、それから…言わない」「じゃあ、アルバイトが決まってみんなの前で挨拶する時は?」「えーと、使わない」「よね?」。なんで私がこんな疑問を持ったかというと、日本語ができたり日本に縁のあるタイ人達が集うネット掲示板に、やたらにこれが出てくるのだ。ちょうど日本人が文末に「よろしくお願いします」と添えるように。それがすごく違和感なのである。でも言葉ってこうして外国語の影響を受けながら変化していくものだとは思う。日本語だって英語の翻訳調が違和感なくなっていることだし。この高校生だって、日本に慣れるに従ってタイ語の方も使うようになるかもしれない。で、もうひとつ思い出したのが、日本語の「がんばってね」。これを、知り合いの在日のタイ人が日本語の説明をつけて教えてくれた時も驚いた。タイで聞いたことないから「タイでも言うの」と聞くと「言うよ、言うよ」と言うから、私の無知なのだと思って、その時は夫に聞いたら、考え込んだ後で「あんまり聞かない」と曖昧な返事で役立たず。これじゃあ、自分が言わないのか一般に言わないのか不明。しかしいずれにしろ、彼女以外のタイ人から別れ際の挨拶代わりにタイ語で「がんばってね」と言われたことは1度もない。言葉の変化を目の当たりにするのは面白い。こういうのを集めてまとめたら面白いんじゃないか、と思うのは私だけか。
by kienlen | 2007-12-07 14:48 | 言葉 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31