『移民国家ニッポン-1000万人の移民が日本を救う』

これを昨日読了。著者は坂中英徳氏と浅川晃広氏。それぞれの肩書きは外国人政策研究所所長と、名古屋大学大学院国際開発研究科講師。坂中氏は長年の入国管理局勤務の中で、またその経験から、入国管理行政に関しての提言等多い方であり、私も少しは読んでいるので少しは知っている。それもあってamazonから知らされた時に即注文したのだが、到着がやけに遅かった。パスポート風の真っ赤なデザインの装丁。この薄さで1600円は割高感があるが、発行部数少ないだろうし、しょうがないかと思って読んだ。この本の目的は、来るべきなんて呑気なことを言ってられないすでに始まっている人口減少時代に外国人を迎え入れるための具体的な提案を示してみるので、国民の皆さんぜひ議論して下さい、と呼びかけるためのその方面の方々のためのテキストというところだろう。で、その骨子は、まず今その方向で外国人受け入れをせよとの声が大きいローテーション方式ではなくて「移民」として受け入れ、国籍取得も簡便化して統合型の移民国家の道を目指せ→そのためには、日本語能力試験を課す等、日本国民として生きる覚悟のある人を選別することが大切で、もちろん権利も義務も日本国民扱い。

つまり、お客さんとしての外国人ではなくて日本国民候補としての外国人の受け入れ、ということだが、坂中さんはその前に選択すべき2つのシナリオがあると強調している。ひとつは、人口減少時代にふさわしい小さな国家の道で、この場合は外国人の流入は厳しく阻む。名付けて「美しい衰退への道」。質素な成熟社会であり華美な生活はできないがそれなりの幸福はあるだろう、ということ。そして次が、多分一般国民はこっちを選択するだろうと坂中氏が述べている「活力ある社会を維持する道」で、この場合の道筋を提案しているのが本書、ということになる。私がごもっともだと思う点は、外国人を一時的な滞在者とみるのではなくて、国民として統合して共生する道を真剣に制度に反映させるべきということ等いくつもあるのだが、この手の本でどうしても違和感を拭えないのは、相手に人格がないかのごときの描き方。ある意味しょうがないのだろうか。でも、例えば労働者不足の介護分野への導入が例示されているけど、外国人だから日本人の就かない仕事を引き受けるということはあり得ないように思う。最初はそれで来日したって、その後意思的にフリーターになるかもしれないしニートになるかもしれない。で、それじゃあ困るからって強制送還にするわけにもいかないし、そんなことになったらこの方が重大な人権侵害というものじゃないだろうか。政策提言だから具体的でなければならないし多面的になっていたら無理なのは分かるけど、まあ、だから自分のような者には馴染めない部分が相当あるけど、いずれにしろ外国人政策をどうすかはもっと広く関心もたれるべきとは本気で思う人には読む価値ありか、な。
by kienlen | 2007-11-21 09:20 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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