戦後短篇小説再発見⑰『組織と個人』

上京した時に当地方都市にはない大型書店で平積みになっていたから新しいものかと思ったらそうでもなくて2003年発行。文庫本だから定価も見ないで買ったら、厚くもないのに税別で950円もしていた。見ていたらためらっていたかも。収入低迷の割には図書費に割く金額は低迷していない。このような本は図書館利用で充分なのだろうが、こういう本を刊行して下さる心意気を支持したい、それで買う、と友達に勝手に宣言したら「図書館だって買うんだからリクエストすればいいんだよ」と冷たく言われた。このまま低迷だとそれを考えることにしよう。さて、この本に目がいったのは単純にタイトルに惹かれたからだ。組織と個人…、人類普遍のテーマではないだろうか。少なくとも人類の片隅に生息する私にとっては重要である。ちょっと開いたら、私の好きな梶山季之の短篇も掲載されている。それで決断、ほぼ即決。講談社文芸文庫の「青春の光と影」「性の根源へ」「さまざまな恋愛」という具合にテーマ設定して短篇を編んでいるシリーズの中の1冊だが、一覧を見渡す限り、これが最も興味あるテーマである。

10人の短篇が並んでいる。昔いくらか読んだことのある人が4人、名前は知っているが読んでないのが3人、知らない人が3人という内訳。戦前・戦中を舞台にしたものでは、組織というもののある側面を見るのに究極のサンプルとなる軍の存在が直接的であれ間接的であれ大きい。一番印象に残った梶山季之「旅譜」は、朝鮮人の創氏改名を現場で進める役割を負わせられた下っ端職員が主人公だ。苗字が途切れてはご先祖様に申し訳ないと応じてくれない相手は、日本への貢献という点でも申し分ない優良朝鮮人。彼の言い分はもっともであるから、そもそも徴兵逃れで公務員になっているような主人公はそっちに共感するのだが、上司も上層部も、はいそうですか、で許すわけがなくて、かといって真摯にストレートな説得を試みるなんて無芸もするわけがなくて、まさにホラーの世界である。真に恐ろしいのはオバケではなくてこっちなのだ。可愛げもなければ、そもそも正体不明なんだから闘いようもない。吐気がするほど胸が痛くなった。梶山季之って大衆小説しか知らなかったが、こういうのも書いていたんだ。戦後が舞台となる作品は組合とか企業に移る。短篇はこういう形でテーマで選んでもらうとありがたい。選ぶ方は大変だろうけど。
Commented by 高橋名人 at 2008-03-04 00:59 x
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Commented by ライチさん at 2008-04-02 12:18 x
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by kienlen | 2007-10-29 10:11 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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