上京して観た「シッコ」

上京した。そしてマイケル・ムーアの新作を観た。少々遅刻して出だし部分を観られなかったのが残念。それから映画館じゃなかったので映画が目的じゃない人もいたようで、ちょうど私の前に座っていた人が落ち着きなく体を揺らし、しかもデカイ。おかげで当方も後方を気にしていられなくて、その男性と反対側に首を揺らしていて疲れた。隣に座った背の高い友人が「代わろうか」と言ってくれたが、マイケル・ムーアのはテンポが速いので見逃すのが嫌で断る。ただ、これまでの作品よりは場面展開が遅めで時系列的で落ち着きがあって、そんな状況下でもストーリーが把握できた。以上、鑑賞環境はともかくとして、これは必見であると言いたいドキュメンタリーだった。マイケル・ムーアは私は好きである。なぜかっていうと、扱うテーマが個人の問題であると共に社会の問題であり、高台からの見物的じゃなくて、グッと低いところから対象に迫っていて、その現象の背景説明が直感的でいて分かりやすく、正義感とユーモアがたっぷりある。泣かせる目的じゃないのに泣けて、笑いを取るのが目的じゃないのに笑えるって、これ多分私らの日常そのものなんじゃないかと感じたりする。

テーマは医療で、料理方法はアメリカの銃社会をテーマにした「ローリングフォーコロンバイン」に似ていた。すなわち、僕達が当たり前だと思っている現実って、実はちょっとヘンじゃない?アメリカってどうしてこうなの?→カナダはどうだ、イギリスはどうだ、フランスはどうだ、キューバはどうなんだ?→どうやらかの国の住民の幸福感は高いようだ→なんでだ?という進め方。次に、個人の自由が最大限に尊重されることによって実は肝心な生命が脅かされているという矛盾への疑問。次に、アメリカ的価値観への基本的な疑問。それと、すごく面白いと思うのは、国民への洗脳教育が徹底しているらしいことと、世界に向けてのアメリカのイメージ作りの巧妙さ。これは正義感からくる真剣さゆえからなのか邪悪な本心があるのか、よく分からないけど、包含というよりは排除の思想が横たわっているように見える。シンプルに言ってしまうと、恐怖心をエネルギーにして生きているって感じ。だからいつも身構えてないとならない。これは結局は不自由なことなのだ。自由って何だろうという点について考えさせられる。少なくとも、これを観てアメリカの医療政策を羨ましく感じる人は庶民の中にはいないんじゃないだろうか。宣伝文句は「世直しリアル・エンターテイメント」だが、まさにこれもアメリカ的っていうか…。
by kienlen | 2007-10-24 23:55 | 映画類 | Comments(0)

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