眠れなくなる『それってどうなの主義』

斎藤美奈子の本を久々に読んだ。偶然書店で見つけたもので、雑誌や新聞に書いた短いコラムをまとめた本だから、就寝前に少しずつ読むのにちょうどいいやと思って枕元の友のはずだった。このボリュームなら数日はもたせることができるかと思ったのに、2日目である昨夜読み切ってしまった。こういうのを費用対効果が低い、というのだろうか。それに、仕事とか掃除とか料理とか他の事をする時間を削って読書という非生産的なことをしているということは、人生そのものの費用対効果を引き下げるような気もする。だいたい本って非効率的だ。映像と一緒にインプットする方がはるかに合理的に違いない。だいたい私は読んでも何も覚えていないし、だから知識として蓄積されるわけでもないし、これは何て困った趣味なんだ、と深夜に読み終えてぐっと落ち込んでしまった。でも何度か声を出して笑うほど面白くて、切り上げるきっかけがつかめなかった。白水社という出版社からイメージするのは「おフランス」みたいなスノッブな感じだけど、こういう大衆的な本も出しているんだ。

タイトルになっている「それってどうなの主義」略して「そ連」は、「何だか変だなあと思ったときに、とりあえず『それってどうなの』とつぶやいてみる。それだけの主義です」なのだそうだ。私にとってもこの日常は、それってどうなの現象に満ちているから、今日からこのつぶやきを声にして、ひそかにそ連の一員になろうと思った。斎藤美奈子は大好きだが、私にとってその理由はこの「ひそかさ」にある。これは同世代のせいだろうか。ちょっと上の世代はなんだかこう騒がしい感じで、それをどっかで自慢しているようでもある。私らは三無主義とか名付けられた通り、闘いも好ます、かといって体制べったりにもなれず、消費に浸りきるほどの豊かさもなく、いろんな面でシラケたまんまここまできてしまった。もっともクリスタルな都会は違ったのかもしれないが、ウチの田舎ではそんなもんだ、ずっと。そんな内省はともかく面白かった。彼女のは何冊か読んでいるけど『紅一点論』などのようにひとつのテーマを掘り下げたものよりも、短いコラムが好きだ。私がマニアックでないからなのと、分析対象がメディア経由だと、そもそも自分が見てないからついていけない。だからこういう一般事象に関する時評は楽しい。静かに展開する「そ連」なので人数を増やすしかない、そのためのテキスト。
by kienlen | 2007-10-15 09:12 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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