バンコクの病院での薄れつつある思い出

毎日の気温を見ていると、私が住んでいた頃のバンコクの真夏と同じかそれ以上が続いている。ちなみにタイの真夏は4月で、8月は雨季である。娘が生まれたのは8月だった。息子の時は日本人などほとんど行かないバンコク郊外の病院だったが、娘の時は家の近くに新しい豪華な病院ができていて、その院長は日本の医師免許も持っていて当然ながら日本語超堪能、という触れ込みで、日本人向けに宣伝もしていたし、日本で看護師をしていた日本人女性もスタッフにいる病院にした。といっても選んだ理由は家に一番近いからで、担当医師が日本語を話すわけじゃないし一般患者にとっての大勢に影響はない。何もかも格差社会のタイであるから、病院間格差も激しい。医師はあちこちの病院を掛け持ちしている場合が多いので、予約日以外だと、自分のかかりつけの医師に会うことはできない。格差社会であるとともにコネ社会なので、タイの上流階級出身者と結婚経験のある私の友人は、コネのある軍人病院で個室に入っていたが、庶民は延々と順番待ちすることになってそんな待遇はまず無理だろう。私はコネもないし、ずっと私立の病院を利用していた。ちなみに、タイ語でコネのことはセンと言うが、日本語の線と同じ発音なので覚えやすい。ラーメンの麺もセンで、太いコネだと太いセン=センヤイということになる。タイ料理の麺類を頼む時にセンヤイと指定すると、きしめんより太いのが出てくるはず。それくらいのセンがあるとタイではとっても便利で、交通違反をしても犯罪を犯しても無罪、かもしれない。

というわけで、値段も一定じゃないし、日本のような皆保険制度もないから、金持ちは金持ちがターゲットの病院に行き、庶民は国立で待たされるなりクリニックなり、薬ですますなりってことになる。命間の重さには目に見える格差がある。病院で思い出したことがある。息子の出産の時のこと。病室選びで、大部屋から2人部屋、個室と、価格が倍倍になっていく。ちょっとリッチにいくかと思って2人部屋にした。私立の中堅どころといった感のある病院で、部屋はすごく広くて快適…となるはずが、同室の人の親族が終始出入りするだけじゃなくて、床に座って飲み食いまでするしで、日本だったらまずあり得ない光景が地獄に見えた。広い空間というのも考え物である。狭ければそこで宴会しようなんて思わないだろうに。当時は友達が1人しかいなくて、彼女が見舞いに来た時に、その光景を見て呆れて病院に掛け合って部屋を変える手続きをしてくれた。それで4人部屋に入った。そこでは宴会はなかったけど、珍しい日本人が来たのでいろいろ聞かれた。こっちは痛いんだけど。よくタイ人はフレンドリーだと言われるが、それは嘘ではないと思う。しかしあれから16年だ。変わっているだろうか。昨夜、夢を見たのだ。タイに行ったのにタイ語を忘れていて夫に呆れられた夢。確かに自分の不安を反映している。それでとりとめもなく思い出したこと。
by kienlen | 2007-08-16 09:42 | タイの事と料理 | Comments(0)

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