がんを患った妻との日々を綴った本

蒸し暑い日だ。我が家でひとりだけ暑がりの娘は街中の熱気に耐えられず、山間地の祖父母宅へ。バレーボールの部活には積極的な息子は今日も弁当持参で練習試合へ。テレビの前にだらしなく寝転ぶ姿を見るよりは、視界に入らない方がよっぽどマシ。途中で止めないでぜひ3年まで続けて欲しいものだが、親子共々根性なしなので分からないな。ただ、偶然にも中学で活躍した何人かが一緒になった上に2年生が2人しかいないというチームなので、いきなりレギュラーで楽しいようだ。弁当作りを引き受けたため寝坊は回避したが、仕事があるわけじゃないのでソファに寝転んで読書とする。ちょっと仕事がらみで自費出版本を読む。大きな字なのですぐ、って言いたいところだが速読技術がないので数時間もかかってしまった。膵臓がんというやっかいながんが発見された妻を献身的に見守る元新聞記者の夫が著したもの。著者は間接的に知っている人と思われる。登場人物は実名がほとんどで、その中には友人もあり。ミニコミ紙の元編集長、それから最近議員になった友。通院しているM病院って、私の父もかかっているあのM病院かも?って感じさせるローカル色溢れる著書で親近感を覚える。

ある意味すごい本である。ネガティブな記述はほとんど皆無である。恨み辛み、愚痴の類、反発や批判や皮肉、反社会的態度、全部ない。例えば美味しくないと感じるレストランを紹介する時に、美味しくないって言うわけにいかない場合、かつ嘘はつきたくない場合にどうするかっていうと、ドアのノブがアートであるとか、床の色が素敵だとか、お皿のセンスがいいとか、窓辺に置いてあるグリーンがみずみずしく輝いているとか、それだと良心の呵責に苛まれることないわけで、そんな感じの本なのだが、多分それは私がまだ達観してないからであって、きっと著者は感じるままを表現しているのかもしれない。思いやりに満ちた家族親族、隣組内やら地域の人々の助け合い、元同僚やサークル活動の仲間達との交流。すべての関係性が、行き届いた心遣いに満ち溢れ、おとぎ話の世界のようである。しかし、そんな風に感じる自分がいかにひねくれているかってことを反省して、今日は穏やかでいることにした。その準備としてまずはビールをひっかける。部活をがんばっている息子はなんて健気なんだ、食欲旺盛で頼もしい、田んぼを見に行って「来月は稲刈りだ」と言う家族思いの夫は、休日なのに店に行って、昨夜逃げ出したまま店内で行方不明になっている食用ガエルの捕獲に行った働き者。こんな家族に囲まれて幸福いっぱい…。学ばせていただいた本だった。
by kienlen | 2007-08-05 21:10 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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