被告全面否認で判決懲役13年

地震で柏崎原発がとんでもない事態になっているというニュースが1面トップの新聞を抱えて、10時からの裁判傍聴に行った。これまで数回にわたって傍聴を続けてきた、死亡者も1人でた3件の放火事件。検察側の求刑は20年で韓国人の被告は全面否認。そもそも私がこの事件に興味を持ったのは、3件のうちの1件の舞台がタイ人女性の経営するスナックの入り口での放火だったからで、証人席にタイ人女性が立ったりもしたからだ。で、今日は裁判官の判決言い渡しの日。入り口には傍聴券配布のたて看板があって係員が立っていたから「抽選になるんですか」と尋ねたら「早い順です」と言われて19番の紙を渡された。法廷の前には行列ができていたが、順番に入るという決まりなので廊下の長椅子で原発火事の記事を少し読む。開廷前にテレビ撮影の時間が2分あって、3人の裁判官はテレビ用の顔で正面を向いていた。そして朗読された主文は、被告人を懲役13年に処する、未決拘留日数80日を算入するというもの。ホホウという嘆息が傍聴席から漏れる…なんて場面を想像していたが、息を呑む声も緊張感も何もなかった。傍聴席はほとんど報道関係者みたいだったし、当然か。

有罪になったのは3件のうちの2件で、1件は無罪だった。さすがにこれだけの事件のせいか理由の説明が長くて、さらに通訳を通すので2時間がかりだった。退屈だから裁判官の顔を見ていた。しゃべるのはいつも真ん中の1人だけど脇に男性と女性の若い判事が鎮座している。その男性の方が、見れば見るほどインテリのタイ人にいそうなタイプなのである。小柄で肌が浅黒くて静かで目付きが悪くなくて、温厚で無口そうな印象。中国系じゃなくて純タイ人という血統で、両親のどちらか、あるいは両方が教師かその他公務員だ。だから金持ちってわけじゃないけど自分の家があって、堅実な生活で子供の教育に熱心で、いい筋のコネクションがあるので幼稚園から名門に入れ、子供は素直で両親を敬い反抗的態度は示さず、学業優秀でタイの京大と言われるタマサート大学の法学部を出て裁判官になったに違いない…なんて妄想していた。日本人にしておくのはもったいない堂々たるタイ人ぶり。カッコいいのである。なんて言うと、日本の地方都市に居ついているタイ人しか知らない日本人が「タイにあんな素敵な人いるの」なんて言うのだ。それってアメリカに黒人いるの?と同じくらいの思い込み。終わると後部にいた傍聴仲間に手招きされて説明を求められる。最後の部分しか聴かれなかったという。ざっと説明。「無罪で釈放されたら記者会見設定して、ホラ、いろいろやることあるから、アンタにも手伝ってもらおうと思ったんだよ」と言われるが、そんな心配は当面無用になった。しかし、決定的な証拠はないし、背中を掻いてもらう時の「違う、違う、もっと右右、ああああ、違うけど、まあいいやもう」みたいな感じだった。語尾も「…と強く推定される」という調子だった。かといって状況的に、やってないとはとても思えず、疑わしきは罰せずで無罪だったら納得いかないなあ、というのが大方の素人の印象ではないかと思った。
by kienlen | 2007-07-18 15:20 | その他雑感 | Comments(0)

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