奥田英朗『サウスバウンド』を読む

昨夜はちょっと事情があってほとんど全く眠れなかった。それで本を読んでいた。読みかけの奥田英朗『サウスバウンド』。もう1年以上も前に買ってあって、友人に貸して彼女の方が先に読んでオーナーの私が今ごろになってしまった。面白かったな。小説だとこの奥田さんと、横山秀夫くらいしか今は読んでないけど、社会科学系に偏っている感があるので、これから小説も読むことにしよう。眠れない夜には小説の方がふさわしいし、そういう夜が増えるかもしれないし。私は速読できないので、この本の厚さだと一晩で読みきれず、やるべきことが全くないわけでもないのに、朝方になってちょっと眠れて、それから午前中はまた読みふけってしまった。小学生の目線っていう描き方は実は苦手で、これだけであまり読む気になれず、それでこの本も買ったはいいけど立てとく状態だった。でも読み始めたらさすがに、いつものユーモアはあるし風刺はあるしで盛りだくさんで楽しい現代版のファンタジーって感じだった。

中心になっているのは元過激派の夫婦と、その子供3人という家族。前半の舞台は東京で、後半は沖縄の西表島に移る。これだけで想像がつく人にはつくんだろうと思うが、で、だいたい想像通りの展開になる。という大雑把なストーリーがどうのというよりは、細部が面白い。家族って何とか、学校って、子供って、夫婦って、親子って、個人と社会って、国家って、組織って、権力って、市民運動って、幸福って、お金って、愛って、なんて、誰にとってもの関心事で直面せざるを得ないやっかいな問題群が闇鍋のように突っ込まれている。もっともそれが我らのフツーの日常生活であるから、本物の日常を舞台において、そのまんまみたいなナチュラル感と、これってアリかなと思わせる作り物感が面白かった。ああ、よく分からないけど、これが小説ってことなのか。今までに私が読んだこの人の小説では、他のに比べて大笑いする場面は少ないけど、泣かせる場面は多いように思った。ノンフィクションじゃあ得られないのが夢見感だな。これは生きていくのに必須栄養素だもんな。また小説読もう。
Commented by jun at 2007-07-17 20:42 x
ホント、いい文章や気に入った小説って、栄養素って感じですね。
Commented by kienlen at 2007-07-18 12:14
こればっかりは体内で作れないですからねえ。外部摂取しないとならないです、私の場合は。
by kienlen | 2007-07-17 14:09 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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