『デモクラシーの冒険』を読み終える

面白かった。で、この本はそういう「ハイ、勉強になりました」で終わりにするのではなくて何かできる事をしよう、というところまでが目的であるから、ここで終わるのは民主主義の消費者になるということになる。そしてみんなが民主主義の消費者になったら民主主義はますます後退するのだ、今もひどいけど。民主主義というのはインスタント食品みたいにお湯をかけて出来上がるものでもないし、できたから貪り食うってものでもなく、これでおしまいという場所はなく、常に過程である。と、こんなつまらん比喩をテッサさんと姜さんのお2人が使うわけないけど、このような基本的な事を確認しなければならない時代になってるぜ、という声はヒシヒシと伝わってくる。帯の売り文句はこれ。「例えば、1100万人を超える反戦運動が、まったく無視されたわけですが、それはなぜ!?-イラク戦争以後の民主主義入門書」。ホント、私なんかもこのなぜ?の日々なのだ。だって自分が選んだ覚えのない人が「国民に選ばれた」って言うし、良心的国民は「結局私達が選んだんだから」とまで言うし、無力感に襲われるのだが、つまりその無力感が民主主義の後退への典型的な道なのであると解説されている。

だから選挙しかないから選挙に行こう、なんて単純に言うわけないのがいい。間接民主主義についても討論されているし、こういうのが基本のキってことなんだろう。だからこのような本は高校生の教科書にすればいいのだ。対談だから言葉使いは難しくない。さすがに登場人物や歴史的事象はバンバン出てくるが、巻末に親切な用語解説があるから大丈夫。昔は対談形式が好きではなかったけど、今になるとこの形式の可能性を感じる。人々がネットで見知らぬ人ともやり取りするのが当たり前になると、対談形式を受け入れやすいのじゃないだろうか。ここらへんまでの基本を押さえた上でメディアに接したり政治家の言葉を聞いたりすれば、多分もっと深く絶望するだろう…なんて無力感は危険だ、ということも分かるだろう。いい本だった。基本的にはポジティブなメッセージがたくさん詰まっている。それに基本のキだから応用に入った時のひねりがないので、ホント?って、こっちが斜めになるような箇所がないのだな。この間の『不安の正体』よりお上品。で、私はこうして発信したことで消費者だけから1mmくらい歩んだことになる。
by kienlen | 2007-07-02 18:34 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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