『デモクラシーの冒険』の途中感想

姜尚中とテッサ・モーリス-スズキの対談『デモクラシーの冒険』を読み始めた。少し前に買ってあって今になって読み始めたもの。姜さんは講演も聞いたことがあるし、カッコいいなと思っている人で、テッサさんは、かの森巣博さんのパートナーであり、時々雑誌で見かけたりするし他の本も買ってはあるのだが、難しすぎるかと思い込んでそのままになっていた。で、手をつけたらすごく面白い。読み始めの時点で友人に「面白いよ」と言い、少し読み進めて同じ友人に「あ、ちょっと初心者向け過ぎるかも」と連絡し、さらに進んで「そこそこ、最高」になっている。本の感想って読み終えてから書かないといけないような気がしていたが、考えてみるとそんなルールはないわけで、1冊分の感想を少ない字数でまとめるのがもったいないとなれば、途中で記録するのがいいように思う。形態は姜さんと森巣さんの『ナショナリズムの克服』に似ている。オーストラリアに休暇っぽく行って、そこで対談するのだが、影の存在である編集者もたまに登場して、本作りの現場を見て下さい、みたいな仕掛けになっている。サービス精神旺盛っぽく見せてくれる。

まだ3分の1にも達してないが、自分がずっとずっと疑問に思ってきた事で、でもこれに真っ直ぐに応えてくれる本に出会ってないのが不満だった「審議会」への言及があるのだ。審議会は大平内閣と中曽根内閣で盛んに設置されたそうだが、委員は選挙で選ばれるわけでもないのに、重要事項を審議して答申まで出している。私もいくつか審議会の委員になった事があるけど、その都度不思議だった。ここでこんな答申を出すことに何の正当性があるのか…と。私は公募委員なので特にやましいところはないが、公募なんて2人くらいであとは「学識経験者」とかで行政の側が選ぶ。大学教員がいて、関連団体の長がいて、PTA会長がいて、区長会とかナントカ会とかの代表がいて。で、この人選は当然ながら事務局(行政)の意向をなんらかの形で反映したものになる。そして議会ほどのオープンさはない。それから、政党とは何かを話し合っている。税金が投入されているのに、位置付けがはっきりしない。そういえばそうだな。そもそも政党の発生は階級を代表するものとして、イギリスでだった。でも社会学においてさえ階級論は沈滞気味で、今の政党がどこの誰の代表であるかが曖昧になっている。まだここまでしか読んでないけど、予想以上に楽しく現実的な本である予感。
Commented by jun at 2007-06-29 15:35 x
「審議会は以下禁止」シンギカイハイカキンシ (回文、濁点に違いは許して!)
姜さんの甘いささやき(?)は男の私でも、魅力を感じます。あの落ち着いたやさしい声なら「バカヤロウ」といわれても、許せてしまう気がします。議会などでも怒鳴るより、真似して囁いてみたら日本が変わる気がします。冗談はさておき、審議会や協議会のいい本を教えていただき、読んでみたくなりましたが、私はツン読になりそうです。
審議会等は行政の側にとってもお荷物になっていて形骸化している一方、アリバイ作りのブラックボックスになっていることも確かと思います。
市民が一度は参加して、馬鹿らしいと思ったら一つ一つ廃止出来ればいいのですが。私事ですが、当市の審議会等の公開度や報酬、名簿などを含んだ一覧表(100以上の組織がある)を手元に置いて茶のみ話にその矛盾をおちょくっていましたが、そろそろ姜さんやkienlenさんのお力をお借りする時かもしれませんね。
Commented by kienlen at 2007-06-29 22:37
この本はいいですよ。参考になると思います。ユーモアがあって楽しくて、私達庶民の一般的な感覚をうまく掬っていると思います。お買い得だと思いますよ。読み始めたら多分積読にはならないと思います。易しく説けるのが対談の利点ですね。「無党派党」という政党を作ればいいというアイデアは賛成だったです。
Commented by ワイン at 2007-07-01 11:23 x
公募委員を登用する審議会が増えてきましたが、公募者を選定する基準、選定者を明文化している自治体があったら知りたいです。私の知る自治体は、公募者の素性をチェックしたり、選定基準が存在しなかったり、選定者が場当たり的だったりするところばかりなので・・・
Commented by kienlen at 2007-07-01 14:36
ワインさん、旅の空とは無関係な話題にもコメントありがとうございます。公募の選定に明文化は難しいんじゃないかな。私は公募の基準よりも学識経験者とか団体の代表の選定基準の方が気になっちゃいます。圧倒的に数が多いし、事務局がお願いするって形式でしょ。同じ人をあっちでもこっちでも登用するのも気になる。帰国したらいろいろやることありそうで、南国暮らしは難しいかもですね。
by kienlen | 2007-06-29 00:42 | 読み物類 | Comments(4)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
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