『仏教と日本人』を読み終える

暗雲立ち込める天気で、一層暗い部屋で阿満利麿著『仏教と日本人』を読んだ。同じ著者のでは以前に『日本人はなぜ無宗教なのか』を途中まで読んで挫折している。これも挫折覚悟で買ったものだが、ここんところ貧しいので代金無駄にしたくないという気持ちが働くというだけじゃなくて、思ったより面白かった。学問的にすぎると知識のない自分には無理。エッセイはもともと苦手なのに加えて、特にこういう分野だとしきたりとか儀式とか言葉の解説っぽくなりがちで、雑学的なのはほとんど興味ないから読めない。あと、そこの世界に入り込んでしまって、客観的に位置確認ができないのはダメなのだが、この本はそこらへんのバランスがちょうどいい感じで読めたのだと思う。私があまりに知らないのかもしれないが、地蔵って何、とか、日本人にとって地獄と極楽とは、とか、思わず「神様仏様」と唱えてしまうのはなぜかとか、日頃の疑問が文献引用と著者の見解織り交ぜて解説されている。それもごく平易に。

易しい仏教関係の本は若い頃から読んでいたが、当時は苦しい青春時代の生き方の模索としての興味でしかなかった。タイ暮らしを経験してから、一口に仏教って言ってもこんなに違うんだということに驚いて、なんでなんでという基本のところを知りたいという気持ちが強まった。それで実家の菩提寺のお坊さんに質問してみたが、酒飲んでいて的確な答えはなかった。それで本を探して読んだりもしたが、比較的な見地から解説してくれる手軽な本を容易に見つけられずにいる。そんな中で、これは歴史を遡って概論的でありつつも日常生活や庶民の考えを解説して、私には説得力を感じる日本人論的な本になっている。例えば日本の仏教を揶揄するように「葬式仏教」と言うが、なぜそうなっているのか、そしてそれにも意義はあるだろうという多角的見地からのアプローチがなされる。たまに、日本の仏教の基本的な問題も指摘されている。なるほどなあとうなずける指摘多々。タイの様子を思い出しながら読むと一段と面白い。期待してなかった分を差し引いても充実感あった本。
Commented by ワイン at 2007-06-23 11:32 x
同じ疑問をもってアジアの国を歩いています。その疑問に答えてくれる本を読みたいと切実に思います。日本にいなくて残念。日本の仏教の基本的な問題とは、伝来(輸入)ゆえの仕方なさでしょうか、それとも土着宗教、民族性がゆえのものでしょうか。興味があります。
Commented by kienlen at 2007-06-23 14:46
ワインさんのご指摘の要素すべてが絡まりあって日本独特の仏教になっている、ということのようでした。その説明は分かりやすかった。本文の方に折りをみて書き付けておきたいと思います。本を送りたいけど、国際便の送料が高くてバカバカしくなってしまうんですよね。いい方法があるかなあ。
Commented by ワイン at 2007-06-24 11:36 x
ブログの本文での解説を楽しみにしています。特に納得できたところを知りたいです。帰国して読みたい本のリストアップしておくと、帰国する楽しみができるので、我慢のしがいもあると思っています。明日からラオスです。
by kienlen | 2007-06-21 22:45 | 読み物類 | Comments(3)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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