『少子社会日本-もうひとつの格差のゆくえ』

やっと読み切ることができた。有名な山田昌弘先生の本を。現代人の必読書なんだろうと思って何冊か挑戦したがすべて挫折している。少し前に話題になった『希望格差社会』も数ページ目に栞を挟んだまま、まだ枕元にある。ハードカバーなので埃をかぶる面積広い。『パラサイトシングルの時代』はどうしても読む必要があったので一応読んだけど、一緒の電車に乗り込んで知らない世界の旅を楽しむという、読書に伴う一種の異界感に達することができない。なんとなくフムフムでおしまいになってしまって読後感も平坦。で、今回のこの本も同じだった。でも気付いた。これは岩波新書なので一般大衆向けと思って買ったが、体裁はそうであれ、先生のは社会学の専門書に近いんじゃないかと。データを駆使して科学的な記述に徹しているようだ。となると私なんかが入り込めないのも不思議じゃないのだ。ただ今回最後まで読んだ収穫はあった。一番最後が面白かったのとあとがきが一番面白かった。これを最初にもってきてくれれば立ち読みでサッと買うのにな、と思った。古参岩波じゃなくて、新参新書だったらそうするんじゃないだろうか、なんて想像してみたりする。

そんな事はともかく、この本はとってもまじめで、日本政府の少子化対策に対する警告の書でもある。で、少子化の背景は格差社会であるというのだから、今の経済社会への警告でもある。内容はこう。少子化は問題であるという立場からスタート→政府もがんばってはいるが的外れであり、おかげでここまで進展してしまった→外している的とは、学歴と経済力。こいつらは結婚の重要条件であるのにこれをタブーにして公にしたがらないのはいけない→低いなら低いなりにでも生活できるだけの経済力を若者が持てる政策にすること。そして将来への希望がないと結婚も子供もできるわけないでしょ→それが少子化の正体だから根本的な対策が必要なのであり、それは新たなる平等社会創出だ。以上、これ以上ないってほどクリア。同感でもある。直感や感想を述べているのではなくて、調査とデータ分析から導いたものだから説得力ある。現在の対策だとますます格差が開くというくだりは、私も常に感じていたことであるし、異論はないのだが、しかし読み通すのがなんでここまで苦痛なんだと考えて、撹乱要因を排除しすぎているなあって感じが拭えない。清濁あわせ飲むみたいなところがもうちょっと欲しい。きれいなモデルさんに洋服着せているから何でも似合います、みたいな。そりゃあ見栄えはいいけど、私が着たらどうなるのかっていう怖い描写も欲しいわ、みたいな。これは非科学的で直感のみの感想で次元が違うけど。
by kienlen | 2007-05-27 10:54 | 読み物類 | Comments(0)

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