米原米里『他諺の空似-ことわざ人類学』

米原さんが亡くなって確か25日で1年。なんであの人じゃなくて米原さんなのか、と思うあの人はたくさんいるのだが、米原さんはひとりしかいない。だから「遺作」と書かれたこの本をしばらく前に読んだ。月刊誌の連載をまとめたもので、短い章ごとの読み切りスタイルになっていて、その章ごとの構成は次のようになっている。まずタイトルで、これは「蛇の道は蛇」とか「朱に交われば赤くなる」とか私でさえ知っているような人口に膾炙したもの→ショートショート風のストーリー。これはもう米原さんの魅力炸裂→各国の似たような諺の解説を交えつつの辛口時評。いろいろな国のがあってタイもある。すごい博学だし、正鵠を得た批判に涙が出るほどだ。涙と笑いと恐怖がいっぺんに味わえるという趣向。

ことわざってその国の文化を象徴していると思うので、私もタイの諺集なんてのを買ったこともある。ただ、それがその地域に固有の諺なのか伝来ものなのか翻訳ものなのか分からないということと、正反対の諺ってよくありがちなので、どっちか一方が紹介されていた場合、それをもってなるほど、と思うわけにもいかない、となると、これは大変な探索作業と知識が必要なわけで、私にはとんでもないから、簡単に紹介されている諺は眉唾モノという目で見ることになってしまう。これでまず諺から遠ざかる。次に例えば子育てなんかで飽きるほど引用される「三つ子の魂百まで」みたいな、なんだか諺が正しくてアンタが間違いみたいなバカバカしい文脈に引っ張り出されるのも諺の信用性、私の中では失墜。それでますます諺嫌いになる。諺に悪気はないのに、まるで若い才能を下手に使ってダメにするような感じ。その点米原さんはそんな諺を卑しめるような解説をしない。歴史家の見方はきっと時間軸に沿うのだろうが、米原さんの場合、地球儀をくるくると回して今を俯瞰しながらのよう。こういう本がベストセラーになるようなら、世の中は多分今と違う、という気がしてしょうがない。
Commented by wine at 2007-05-24 14:26 x
I 've just read her book;Usotsuki Anya...given by one of my friends just when I had started my trip. This is my first time to read her book but I was really cautght by her story. I'd like to buy some of her books maybe in Bangkok. I miss her.
Commented by kienlen at 2007-05-25 10:42
ワインさんのバンコク滞在予定が分かったら教えて下さい。行けたら行って合流したいです。米原万里の本おみやげにします。
Commented by wine at 2007-05-26 14:19 x
ベトナムに入り、自分のラップトップが使えるようになりました。ここに10日、その後、カンボジア(1week)そして、バンコクへ入る予定です。その後、ラオスにもと考えているのですが。そうなると、真夏のバンコク突入ですね。6月12日前後という可能性ですが、どうですか。米原万里の本、嬉しいです。
Commented by kienlen at 2007-05-26 21:16
6月のバンコクは雨季で真夏は4月ですよ。しかしすぐだなあ。最悪は米原万里の本送ります。滞在期間はどの程度だろう。ワインさんのブログにアップしてくれれば見てます。ああ、事後じゃなくて事前に頼みます。
by kienlen | 2007-05-22 09:41 | 読み物類 | Comments(4)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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