ほどほどの経済キャンペーン

このところ毎日タイのラジオをつけている。仕事が全然はかどらない一因がこれなので今日は消しておくつもりだが、電波の状態が最もいいから聴いているというだけの政府広報のラジオがなかなか面白いのである。今、タイでは「ほどほどの経済」というキャンペーンをやっているらしい、ということをこのラジオで知った。どの程度一般国民に周知しているのかは全く知らないが、このラジオは1日中「ほどほどの経済」という言葉を繰り返し続け、キャンペーンソングを合い間合い間に流し、そして、このキャンペーンにふさわしい人に電話インタビューする。今朝は、農業の男性だった。以前は13ライ(1ライ=1600㎡)が全部水田で、収入が足りなかったが、今は多彩な野菜も売るようにして、1日に200~300バーツ(約1000円弱位)の収入がある。「それで充分ですか?」と都市的な言葉遣いの女性インタビュアー。「充分ですよ。借金があるわけじゃないし、ちょっとずつ貯金できるよ」との理想的答え。「ほどほどの経済のために工夫していることは?例えば肥料とか?」「化学肥料は一切買いません。豚や牛の糞を肥料にして、それが入手できない時は野菜を使ったり。それに農薬も一切買わないよ。虫がでたらサダオ(強烈な香りのハーブ。卵焼きに入れて私もよく食べた)を煮てかけると虫が逃げていくしね。この方法は講習会で知ったんだが、近所の人にも教えているし、周囲でも数人はこれを実行している」。

こんな具合のやり取りが続く。実際のところタイの若者が、収入に見合わないローンを組んで高価な車を買ったりしているのはここでは触れないでおこう。このような農民の生き方は、この間のクマールさんの講演会での循環型に近いものだろう。それに、日本だって私が生まれた頃の村でも人糞を畑に運んでいたから似たようなものだった。そりゃあ、バンコクだけが経済で太って、農民は搾取されているんだろう、と考えることもできるが、近代化が飽和状態まで進行する前にこのようなキャンペーンをするのは、原子力立国やら、相変わらず経済発展の夢を追うための政策よりは、個人の幸福度にとってはまっとうじゃないかと思う。タイにとって農業は重要だし、政府がこれを無視できない程の規模がまだある。これを維持して欲しい。植民地になっていないのでプランテーション農業でない事の利点は、自給自足がなんとかできる層が厚いという意味では農家にとっては有利。ただし輸出用の価格競争になるとこれがネックになるらしい。しかし、それより自給を死守するのだ、政府だってそれを死守しないといけないぞ。後発国が永遠に不利という理論に共鳴した事もあるけど、それってあくまで経済問題であって、先発の失敗から学ぶことができるのは有利じゃないか。なんて…今朝は珍しく熱くなってる。同じようなインタビューが続いていて、それがみんないいんだ。ううむ、行きたいな、タイ。これをインターネットラジオで流すって、観光キャンペーンより効果あるかも。なかなかやるじゃないか、って思った。
by kienlen | 2007-05-05 10:53 | タイの事と料理 | Comments(0)

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