『国家とメディア-事件の真相に迫る』

ちくま文庫、たった700円でこれだけの情報量で、しかもすぐに読めてしまう平易さ。なんてありがたいのでしょうか。日ごろ情報摂取量が少ない私にとっては、このようにまとめた本を出していただけると、いきなり世の中のことが分かったような気分になる、なんて喜んでいる場合じゃないってことは内容を見れば分かるのだ。全くやり切れない。やり切れないから知りたくないことには目をつぶるのが1番平和だ。私の場合は、核の問題なんかはもう恐ろしすぎて知りたくないと思ってしまうのが典型。怖い怖い、地球は滅亡だ、としか思えなくなってしまう。だってどうにもならないんだもん、と言っていると、ここで扱っている事件だって、真相を知ったところで私にはどうにもならないんだけど、ひとりの有権者としては知っておいた方がいいかも。

著者の魚住昭さんという人は元共同通信の司法記者で東京地検特捜部も担当だったから、マスメディアの組織としての問題や権力機構の問題に詳しい。支局のデスクの苦悩を味わって、それで途中で組織を辞めてフリーになっていて、子育てしながら仕事している、らしい、ということが少しずつ垣間見えたりしてカッコいい。前に『野中広務ーメディアと権力』を友達に貸してもらって読んでいたく感動した。「朝日よ、NHKよ、いやすべての記者たちよ、思い出せ、俺たちゃもともとヤクザなんだということを」なんて、檄を飛ばしている。こういうジャーナリストがたくさんいるとちょっとは希望がもてるんだがなあ、と思って感涙にむせんでいたら、あとがきを書いている森達也もこの文を引用していた。なんだか行き着くのは同じような人ばかり、ってことはこの手の人って意外に少ないのかもしれない。それにこれをカッコいいと思う自分はハードボイルド小説にあこがれた昔をひきずっているだけかも、なんて思うと絶望してしまう。絶望している暇があったら本買うくらいの応援はします。これ読むとここ数年の主な事件について即席で詳しくなった気になれておトク。
by kienlen | 2007-03-17 17:46 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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