フキノトウを炒めながら郷愁に浸る

まるで春の陽気だ。娘はこの天気に誘われて、近所の友達と花や野菜の種撒きをしたらしい。その様子を描いた日記帳を見せてくれたが、二十日大根とルッコラに対しては2人して「早く食べたいから大きくなって」とばかり書いてある。夕食には、フキノトウを炒めてフキ味噌を作った。多分もう数回食べているから初物というわけではないのだが、あの芳香は毎回新鮮で春の匂いを感じる。長時間外で遊んでいて戻ってくる娘にも春の香がまとわりついているようで、匂いを嗅いでいたら嫌がっていた。山菜は娘が祖父母の家に行った時に採って持ち帰る。田舎で過ごした子供時代の遊びといえば今ごろはフキノトウを採って、初夏くらいになるとワラビを採る。ワラビのある場所にはヘビがいるから怖かったが、今考えると呆れるくらいいつも1人で採りに行っていたものだ。自分で植えたのじゃない自然の恵みに会いに行くこと自体が嬉しかったのかもしれない。たぶん、何かがそこに在るのかもしれない。誰かが採った後だとがっかりするのだが、全部なくなるわけじゃないし、誰かが来ていたという気配を感じることも嬉しいものなのだ。

こんな生活が自分の中では当たり前で、今の町中の暮らしが泡沫であると感じてしまう。だからといってあそこに住めるかというと自信がない。でも、と、この頃考えることが多い。父が元気なうちに野菜の作り方くらい教わっておいて、自分の分くらい作る生活をしたい。日当たりの悪い中山間地だが、ソバや雑穀だったら育つかも。この手のものはその気になれば需要があるかも。付近に市場があるからたくさん取れたらそこで少し売ったら楽しみも増える。タイの野菜を作って夫に売ろうか。それもいいアイデアだな。父は退職後に農業をしている。山菜が人気なのでそれも栽培する。その秘密の場所に行くには、なかなか険しい道を行く。するとフキやタラノメがある。野性のものは味も香りも濃厚で、これに慣れていると平地の栽培物は物足りない。「早くウドも食べたいよねえ」と子供達も言っている。おつまみにぴったりのワサビの花ももうじきだ。日常生活にわくわくする要素はほとんどないこの頃だが、フキノトウの匂いに刺激されてわくわくしてきた。そうそう、明日は友人からのお誘いのシカ肉の試食会に行く。お手製のベーコンとハムができているという連絡があった。なるべく楽しい事を考えよう。
by kienlen | 2007-03-03 19:12 | その他雑感 | Comments(0)

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