ひそひそ話ということで

いい天気だ。温泉にでも行きたい気分だけど本日中に片付けないといけないのがある。そのためロマンチックにならないといけないから心を入れ替えようとして、しばらく前から『ウルトラ・ダラー』を読んでいる。このようなハードボイルドタッチは私が最も好きな部類だし、描写がロマンチックなので読者にそれが乗り移ってくれないかと思うのだが、あまりの面白さにそれどころじゃなくてしばし中断。夫は魚取りに行った。自分で捕まえた魚でタイ料理の調味料を作るとひじょうに美味しい。「誰と行くの」と聞いたら「クメール人」と言う。クメール氏は私もよく知っている。昨夜、夫が朝方近くに帰宅して目が覚めてしまった私は「どこに行ってたの」と聞いたら「クメール人とラーメン食べていた」という。彼は、世界各地で学生運動の波が吹き荒れた頃にタイで弾圧されて国境に逃げ込み、それでカンボジアにも数年いたという。だからタイ人だがクメール語もできるし、他にもいろんな言語ができる。それだけではなくて、サバイバルの技術がすごい。動物は何でもおろし、そのへんに生えている植物で食べられそうなものを料理して持って来てくれるのだが、これがとっても美味しい。このように国境の森に逃げた元学生達の投降を、私がバンコク在住時にもタイ政府はうながしていたが、このクメール氏はその頃すでに日本にいたのだろう。

彼に欠けているのもたったひとつのアレだけだ。とっても残念だ。仕事もできるしまじめだし。このところ考えるのは、国家間で人材交換ができればいいのにな、ということだ。このクメール氏が日本に留まった方が、私がここにいるより、美しい国ニッポンにとっては役立つかもしれない。であれば、私がタイに行ってクメール氏に日本の永住資格を与えればいい。いや、私でなくても、タイ好き、タイ在住希望者は結構いるし、この方向でどこに行くかと思うと逃げ出したいって人もいるから、そういう非国民は国外追放の意味でも交換してしまうのだ。国家という装置の役割を考慮するとしょうがないという部分もあるのかと思ったりもしていたが、最近の方法を見ていると、ちょっと非情すぎないか、と感じる。そんな非情な出来事が一般の人々の関心もないままにひっそり起きて、ひっそり消えている。歴史にも残らないと思うとなんだか悲しい。
by kienlen | 2007-01-21 11:23 | タイ人・外国人 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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