糞をつければいいという利便性

「先生、ンゴンって日本語で何ですか」と昨日タイ人の高校生から聞かれた。「わけわからない」でしょう、と答えたら「違う違う、それはンゴン(งง)でしょ、ンゴーン(งอน)の方」と言う。文脈なしにこんな微妙に発音の異なる単語を突如言われても困る。そして私はこれを知らない。「どういう時に使うの」と聞いたら「怒るまではいかないけど、何もしゃべらないとか…」。この説明で分かる人っているのか。そもそもどういう種類の言葉なんだ。辞書を引くと例文なしにただ「態度」とあるのだが、説明から判断するに違う。それで私の宿題にしたのが昨日のこと。私のタイ語の勉強じゃないのに、とはいえ、タイ語で使う言い回しを日本語で知りたくなる気持ちは分かる。調べるより楽なので夫に聞いてみたら、やはり高校生と同じような事を言っている。男と女がどうのこうの、とか。そのうち面倒になって「怒るみたいなもんだ」と言うからお話にならず、優れものの辞書を引いた。

結果は「すねる」とあった。なるほど、そういわれてみると皆さんの説明が納得できるような、かなり言葉足らずであるような…。それを今日の授業の時に伝えたら「じゃあ、キー・ンゴンは?」と言う。勘弁してくれ。この「キー」というのは糞の事だが、ひじょうに便利な接頭語として口語では頻出する。よく~~する人、みたいなニュアンスだ。日頃よく使うのは、酔う=マオにつけてキー・マオで酔っ払い。よく怒る人なら、怒るにキーをつける。怒りんぼでいいかも。よく泣くなら、泣くにキーをつけて泣き虫。ここらへんの単語だとすぐに浮かぶけど、よくすねる人をひと言で表せという事である、彼女たちの質問は。すね者だと、このタイ語の意味と違ってしまいそう。「タイ語のキーに相当するのは日本語ではないから、よくすねる人、とか言うしかないと思う」と言ったものの、家に帰ってこっそり広辞苑まで引いてしまった。私の答えは間違ってはいないと思った。
by kienlen | 2007-01-10 18:06 | 言葉 | Comments(0)

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