『社会学入門-人間と社会の未来』

見田宗介のこの本を読んだ。読んだ理由は積極的なものじゃなくて、単に友人が貸してくれたから。借り物だと早く読まなくちゃと思うから優先した。ただ、これを酒井啓子さんが新聞の書評かなんかで推薦していたことは記憶にあって、ちょっと興味はあったものだ。見田先生のは、必要だった時に必要な論文を読んだことがあるけど、本としてまとめて読んだことがない、と思う。テーマはいずれも興味があるから本は何冊か持ってはいるんだけど。こうしてみると必読書をほとんど読んでないことが分る。何してたんだ。特に『自我の起源』は読みたいと思っているのに本棚にそのまんま。というのは格調高いのでなかなかハードルが高い。本って、引っ張り出して自分の世界の中で読めるものもあるが、襟を正してあっちの世界に入っていかないとならないものは、学生をしている時には、毎日がそういうモードになっているから切り替えなくていいけど、こういう日常を送っていると手間がかかるし、戻れなくなると困るし、とも思うし。

この本もタイトルの割には読み応えがあった、つまり最後の章などはかなり難しかった。旅の様子から入っていて、この部分は少々退屈だったが、これがいろんな意味で伏線になっているんだということが後で分るようになっている。表出物の背景に何があるのかの考察って、根拠に納得できないことも多いけど、そんな複雑な分野を単純化せずにここまで説得力があるって、感動した。それに何より説教臭くないし攻撃的じゃないのは私は好きだ。特に、近代化というものを単線で解釈するんじゃなくて「現代人間の5層階層」としての示しているのはすっきりした。情報化が進んだといっても人間の基盤に広くあるのは生命性、それから上に向かって人間性、文明性、近代性、最後に現代性がのっかっている。先端部分を切り取って人間を見ることはできない、はずなのに、今自分なんかが直面しているのも、こういう問題なのだ。常に生命性に戻ることが必要である。自分の生い立ちからしても、そういうことは意識しているはずだと思っていたが、ともすると忘れそうになっている。
by kienlen | 2007-01-08 20:01 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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