『ゆれる』を見た

午前中に1件仕事があって後は暇という日。新聞を見ていたら、気になっていた『ゆれる』の上映が本日までになっている。仕事の後、夫の店でランチしてから行ったらちょうどいい時間なので、そう決めて車を止めて歩き始めようとしたら、こちらに向かって手を振っている2人がいた。見たらタイ人と中国人の知り合い。タイ料理の店にランチに行くというので、私も一緒に行きたいと言うと「お宅の店じゃないのにいいのお?」と言われる。最近始めた店だが、狭い町なのでオーナーは当然知り合い。すごく繁盛していたし、工夫もしていた。トムヤムラーメンを食べる。その後、夫の店に寄ったらこっちは閑散としていて、何の工夫もなくいつもの通りだった。1件用事を思い出して片付けていたら映画が始まる時間になってしまって、自転車を一生懸命こいだ。

この映画は、うううむ、傑作だった。立ち上がって拍手を送りたい気がした。ちょっと遅れて冒頭の場面が見られなかったのが悔やまれる。予想よりずっと良かった。表現というのは、その手法が大切であることはもちろんだけど、どこまで描くか、というところで美意識みたいなのがすごく影響するように思う。この映画は、カットごとに残す余韻がとっても私の好みだった。ここまで上質な映画だと思っていなかった。あまり邦画を見ないせいもあるが、とにかく最近の中では他と比べようもない。私がさほど期待していなかった理由は、巷でストーリーを聞く限りではあまり興味を惹かれるものでなかったからだ。兄弟の物語りなんて、実のところあんまり興味ない。自分には同性のきょうだいもいないし、きょうだいを意識して暮らしてもこなかったし、今も疎遠であるし、痛い思いも特別いい思い出もない。この映画は兄弟の物語としながらも、人間心理の普遍が描かれていて、どの人物もとってもリアルだ。役者もみんな素晴らしかった。言葉は少なく、言外を深くというのはいかにも日本の伝統ではないだろうか。政治家の皆さんも、罪作りなことしていないで、こういう映画を観た方が美しい国、美しい言葉の実感を得られるんじゃないだろうか。
by kienlen | 2006-12-01 21:55 | 映画類 | Comments(0)

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