『悪の読書術』を読んだ

福田和也『悪の読書術』を読んだ。昨日の午後、待ち時間の方が仕事時間より長いことが分かっている仕事先に行く時、これを持参して読んでいたから待つのが苦にならなかった。雇われの身でないことの少ない利点のひとつといえば、実質労働時間以外は拘束も保障もないから、する事がないと隠れずに読書できることだ。若い女性向け雑誌の連載をまとめたものなので、私なんか想定読者範囲から大きく外れているけど、軽い読み物として楽しかった。本をネタにして論じる人では、斎藤美奈子の切れの良さが好きで、なんとなくそれを思い出しながら読んでいたら、その斎藤美奈子も取り上げられていた。

この本は講談社現代新書の同著者の『悪』シリーズの第3弾ということで、ここで言うところの悪とは「自らの無垢さ、善良さを前提とする甘えから抜け出し、より意識的、戦略的にふるまうためのモラル」ということ。その通り、根底にあるメッセージは「意識的であれ」ということ。だから、自分が何を読んでいるかを表明するということは、それによって相手から自分がいかに規定されるかに思いを馳せなければいけない。読むのは自由だけど、その本を読んでいるって他人に言うのはちょっと待て、というところ。帯は「知的に見せる本、バカに見える本」と、身も蓋もない文句がデカデカと書いてあるが、この帯で買うのをやめる人がいたらもったいないような気がする。私が実際に読んでいる本はほとんどないし、この本で紹介されていることによって読んでみたくなった本も著者もなく、今更、社交としての本なんて考えはないけど、若い時のことを思うと、なんかうなづけるところもあり、それにこういうお高くとまったカッコつけ本は好きだ。もちろんこれも著者の意識的、戦略にきまっているけど、成功しているんじゃないだろうか。
Commented by jun at 2006-11-18 12:37 x
面白そうな本ですね。機会があったら貸してください。
さて、わたしは昨夜、O町のNさんと深酒してしまい、カラオケでは他のお客さんと一緒に盛り上がってしまいました。
Commented by kienlen at 2006-11-18 15:04
いいですよ。NさんってあのNさんですか。私も昼間に密会しました。
by kienlen | 2006-11-16 21:43 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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