『ダーリンの頭ン中』を読んで

語学好きな夫を描いて大ヒットしている小栗左多里『ダーリンは外国人』は、書店で手にとっても買うというところまではいかないままでいる。私も「国際結婚」という部類に入るし、語学にも興味があるが、マンガをそもそもあまり読まないのと、買うほど面白そうに感じられなかったからだ。そんなところに友人が同じ作者+トニー・ラズロという語学オタクの夫による『ダーリンの頭ン中』を貸してくれた。ギャグマンガかと思って読み始めたら、結構まじめな英語と日本語考察マンガ。そういえば「英語と語学」というサブタイトルがついていて、その通りの内容になっている。発音のところは、そんなに興味ない。Theをザと読もうがジとしようが、vがbになろうと決定的な問題じゃなかろうと思ってしまうようになった理由は、タイ語のように発音がすべて、という言葉に比べたら小さなものに思えるからだ。まあ、こんな大雑把な自分は決して○○オタクにはならず、専門家にはなれないと自覚しているから、自分には期待しないとして、ここのダーリンのようなオタクがウチにもいてくれるとネタにできるのに、小説も書けるかもしれないのに、我が家にオタクは1人もいない。

この本の中で面白かったのは「日本語は受け身をよく使う」という点。私もつくずく感じている毎日。「友達に言われたんだけどね…」とか、タイ語だったらやはり「友達が言うには…」だろうし、一般論の時によく使われる「…と言われている」と言われても、誰が言っているのだろう、という疑問の方が先立ってしまう。いつも、上級者はきっと迷いなく的確に訳しているのだろうと思ったりするが、日本語の達人のラズロさんも、この本の中で同じ悩みを抱いていることを知り、妙に安心した。まあ、この場合だったら「一般的には」みたいな言葉を補うことで逃げられそうな気もするが、もっともっと身近な言い回しで今もひっかかるのは「これ買ってもらった」とか「貸してもらった」とか「見せてもらった」とか、究極の日常用語だ。タイ語的には、「買ってくれた」「貸してくれた」「見せてくれた」が一般的。どうも視点が違うよな、と感じる。似たような感覚では、日本語だと自分が家から離れた場所にいても「今度ウチに遊びに来て下さい」と言うが、タイ語だと在宅時以外は「今度ウチに遊びに行って下さい」である。言葉の違いを考える時って、頭の中だけでコネコネいじるというより、体ごとあっちにもって行ったりこっちに運んだりするダイナミックなもんだと思われる、じゃない、思う。
by kienlen | 2006-08-16 12:35 | 言葉 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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