うるさいから捕って食べる

「虫食べる?」と聞かれた時は、メンダーのことかと思った。聞いたのがタイ人女性だし、見かけはゴキブリに似ているが、タガメ虫の仲間で食用のメンダーは香水のような強い香りがしてタイではポピュラー。つぶしてソースに入れたものは他のより値段が高い。都市化で虫はどんどん貴重になっているから。彼女は「違う」ともったいぶった口調で言いながら袋に入ったものを取り出した。「美味しいから食べて」と言う。セミだった。透明な羽もそのままの姿できれいに揚げてある。子供達が夫の実家に行った時に食べている報告を受けたカブトムシを思えば、腹の感じは似ている。オタマジャクシの季節はそれをどう食べるかの話題で、それよりは、私も子供の頃に食べた蜂の子に近いし、イナゴの腹を膨らませたようなものだから、分からなくもないけど、特に虫が好きってわけでもないので遠慮した。彼女は羽をちぎって「美味しい」と言いながら食べていた。

そこにタイ人男性が来た。セミ仲間が増えて嬉しそう。かといってタイ人が皆食べるわけではないのは、どこの郷土食もそうであるのと同じ。夫も「食べたことない」と言っていた。この彼女もタイでは食べたことがなかったそうだ。ところが、日本ではとにかくセミがうるさい、という話を同国人にしたら、食べるように勧められて食べてみたら美味しくてやみつきになったということ。「タイでは高い所にいて捕まえられないけど日本のセミは捕まえるのが簡単」と言う。彼女の家の場合、猫が捕まえて口に入れるのだが入れすぎて吐き出すから「よこしなさい」と言って、猫が捕まえたのをもらい受ける。すると1日10匹くらいになるらしい。すぐに冷凍庫に入れてたまったら揚げる、のだそうだ。「ということは、猫を10匹飼ったら1日100匹のセミ」と言うと、「そしたら売れるよ、ほんと、ほんと」と真顔になった。食の話はいつも盛り上がる。
by kienlen | 2006-08-09 22:44 | タイ人・外国人 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
プロフィールを見る