ブロークンフラワーズを観た

しばらくぶりで映画を観た、というか突然に観るハメになった。友人と飲み始めた時に「ブロークンフラワーズがくるよ」と言ったら、すぐに時間を確かめて行くと言う。しばらく前に彼女がこれを観たいというから、情報提供しただけだったのだが。ビールは優先的に飲んだが、つまみを食べ終える時間がない慌しさ。ついでに私も行くことにしてタクシーに飛び乗り、ぎりぎり間に合う。友達と一緒に映画を観るなんてめったにないことだ。私は期待していなかった。その友人と私はたまたま同じ新聞の紹介記事を読んでいたのだが、彼女はそれで興味をもち、私はそうでもなかった。話してみると読み取り方が違っていた。結果的には「父子物語は苦手なんだよね」と言った私の解釈は間違いだ。ちなみに父子物として思い出すのは『山の郵便配達』で、周囲の人々の評価は高いが、私はあまり好みじゃない。

で、思ったよりずっと良かった。怖くない、ユーモアがある、大げさじゃない、人が死なない、人物は淡々としていて受容的で熱すぎず疲れない、音楽がいい。元ドン・ファン(女たらしという感じか)という設定の男性の家に「あなたと別れた後に妊娠に気づいたが、黙って産んで自分で育てた息子がいる。その子がそちらに向かう」という匿名の手紙が届くところから物語は始まる。その息子とやらは19歳。ドン自身は驚くでもなく無表情。ただ、エチオピア系移民らしい隣人にその手紙を見せることで、手紙の主を探しに過去の恋人達に会う旅に出るハメになる。それぞれ異なる境遇にある、4人の元カノジョ達の人生が浮かび上がる。みんな若くない。ドンも若くない。老いに向かって、人生ってこんなものだよ感が漂っている。で、結局どの女性の息子なのか、その息子と会えたのか、が、謎解き的期待を最後まで抱かせるのだが…。愛情過多型、欲求過多型が苦手な私としては、淡さの加減が心地よく楽しめた。主人公の無表情さがアジア的と言ったら、アメリカとアジアへの思い込み過多だろうか。
by kienlen | 2006-07-23 22:45 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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