『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』

娘が来る時に、せっかくだから何か新刊をと思っていたところ、たまたまこの本の紹介を目にして即決、持って来てもらった。このタイトルだけ見たらとても読む気になれないが内容が面白そうだったのだ。そして原題は単にCleverlands。日本自画自賛の傾向を意識して付けたタイトルなんでしょうか。とはいえ、私には大変面白かった。著者は英国人教師。この人が、国際学力テスト「PISA」の成績上位の国という条件に加えて人口規模等で多様性をもたせて、フィンランドと日本とシンガポールと上海とカナダの教育について紹介した本。なぜこのような本を読みたくなったかというと、バンコクの学校に衝撃を受けてしまって立ち直れないかもしれないから。ただ、公式統計の分析だと味気ない。ところがこの本は現役教師が、教師宅に泊まりこみ、学校見学やら実際に授業をやってみたり、公式、非公式インタビューなどを総合し、もちろん統計や先行研究をたくさん引用しながら一般向けに読みやすく書いている。英国との比較的な視点が多いので英国の教育事情も透けてみえるのも面白い。

アジアの教育といえば詰め込みで独創性がないという印象があるというのは私たちも聞いているし、ここでもその思い込みがあることとを認めつつ、そんな単純な話しじゃないというところを浮き彫りにしている。タイトルをみると日本褒めているようなイメージだがそんなことはない。まだ子どもがいない著者は、子どもをこの国の中のどこで教育させたいかという自問をしているが、日本が選択肢に入るということは絶対になさそうだ。最初のフィンランドも相当良さそうだが、最後のカナダが著者のお好みにあっているようだし私もいいなあと思ったのはカナダだった。つまりアジアの国々というのは移民が大きな教育問題にはなっていないわけだ。その点カナダは移民を大量に受け入れている国で、それでも成績で上位に位置している。日本人が日本の章を読むと、えっと感じる点もいくつかありそう。まあ、それがまた面白くもあるが。どっちにしても、軽く読める割には全体的にとっても興味深かった。見方が単純でなくて安易に評価を下してないのが好感。



by kienlen | 2017-10-29 20:43 | 読み物類 | Comments(0)

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