『見えない橋』

吉村昭の短編集をしばらく前に読んだ。これを買った理由は「著者唯一の私小説」が入っていると書いてあったから。若い頃に書いたもので、母の死の様子を扱ったものだった。私小説とあったから自分のことかと思ったので予想とは違った。私小説と言われなければ分からない。他も、いつものように淡々と、でも人物がこちらに迫り来る描写と、視点のおきどころが好きで安心して読める。安心って、楽しくなるという意味ではないが。こんな風に書いてくれる人がいるという安心感というか。ああ、もういないのだが。

今日は娘が来る日。カズオ・イシグロの本を頼んだ。彼女はちょうどその時、京都から大阪を旅行していて、大阪駅にいたそうだ。で、私の連絡を見て、すぐそこに紀伊國屋があるのを知ってギリギリ買えたとのことだった。売り切れ情報があったので私はKindle購入クリック寸前だったが、娘も読みたいというし、読み回しできる本の方にした。日の名残りは、思い出しても涙が出るくらいに感動した。好きな小説を挙げろと言われたらこれは入れる。タイでは知っている人もほとんどいないように感じるが、ニュースにはなっていた。「イギリスの報道は英国籍といい、日本の報道は日本生まれといい国籍には触れない、面白いですね」と。

by kienlen | 2017-10-10 09:31 | 読み物類 | Comments(0)

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