『茶の本』

こちらに来る前に友人よりいただいた岡倉天心のこの本は、ずっと、読まないと思いながらその機会がなかったもの。色々な版があるようだが、講談社文庫の昭和46年発行の宮川寅雄訳の昭和62年発行26版。いやあ、素晴らしい本だった。しばらく前に読みかけて、1ページ目から、はあ、すごいと思って先に進まず、今回また最初から読み直すことになった。薄い本だが、濃厚。古い本は前に読んだ人が赤線を引いてあって、それで自分は青線を引いた。結構だぶらないものだな、と思いながら。もちろんだぶった部分も多いがその一部を引用。

もののつりあいを保ち、自分の地位を失うことなしに他人に譲ることが、浮世の芝居で成功をおさめる秘訣である。われわれが、自分たちの役を立派につとめるには、その劇の全体を知っていなければならぬ/虚はすべてを含むがゆえに万能である/禅の先験的洞察にとっては、言語は思想の邪魔者にすぎない/茶の湯は、茶と絵画を主題に織り込んだ即興劇であった/動作はすべて単純に自然におこなわれるべきこと/初めて花を活けたのは初期の仏教徒で、かれらは生きものに対する限りない思いやりから、嵐に吹きちらされた花を集めて、それを水差しにいれたということである/

Commented by jun at 2017-09-20 21:04 x
浮世の芝居の後半になってこそ味わいのある本のように思います。冒頭にお茶の持つ多様な効能や学問領域についての考察があったと記憶していますが、私は生きる哲学と芸術論として学びました。
学び途中ですが。日本では台風が過ぎ、一部で果樹が落ち稲が倒れました。散った花も集めて祈る季節です。また各地で災害もありましたが、ススキや月が綺麗です。
Commented by kienlen at 2017-09-21 23:10
> junさん
おかげさまで、ありがとうございます。そうですね。後半というのもいいものだなと感る日々です。こちらは今豪雨と日本ではあまりない激しい雷の最中です。そういえばススキはないな。
by kienlen | 2017-09-18 22:15 | 読み物類 | Comments(2)

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