『アウン・サン・スー・チーはミャンマーを救えるか?』

昨日図書館で借りた本の中の一冊を昨夜読んだ。含みのある文章を読んだ後にこういう本を読むと、いかに楽かを実感。出版社がマガジンハウスなので緊張しない、というのも変だが、姿勢を正そうというよりはダラッとしたまま読めそうだというのが最初からあった。これがみすずだったり河出だったりちくまだったら開く時の気持ちが違う。元駐ミャンマー大使の方とジャーナリストの方が短い章をひとつかふたつかずつ担当という、自分にとってはあまり読み慣れていないスタイルの本。一度、昔行ったことがあるだけのミャンマーだが、すごく魅力を感じ、今回タイになってしまったのも本当はミャンマーが第一希望だったのと、いくらかミャンマー人の知り合いがいるのと、タイで唯一友達といえる関係となった人がシャン州出身だったのと、マカオに渡ってしまったミャンマー人の女の子がどうなっているのか気になっているのと、諸々あってミャンマーは身近に感じているというのがあって借りてみたもの。

前半は面白いなと思った。マスメディアの報道が欧米経由であること、その背景説明もあるし、タイが軍事政権というだけでバッシングされるのを、タイの事情を考えて欲しいと憤慨している友人のことを思ったりで納得。独裁というならベトナムの方が当たるのに、どうしてミャンマーばかり責めるのかとか、あとは、ミャンマーがイギリス連邦に加盟していない独立国であることがいかに珍しいかというあたりなど、なるほどー。苗字がないということから想像できることではあるが家制度のようなものがなく実は欧米より昔から男女平等なのであるということを歴史と仏教、何より王家が世襲でなく、よって貴族階級がないことと絡めて説明してあってり、自分としては知らないことだらけで斬新でますます好きになった。そして俄然、もっと知りたいミャンマーとなったが、後ろの方は疲れてしまった。ミャンマーがいくら確固たる方針でやってきたとしても、このまま世界の資本が流れ込んで世代交代してそれを貫くことができるのかとか、どうしても疑問になることへの言及はなくミャンマーと日本の賞賛ばかり。いくら素晴らしい国であるとしても素晴らしいだけであるというのはあり得ないと思うのだけど。面白いことがたくさん知れただけに、かなり残念だった。



Commented by jun at 2017-02-19 17:43 x
丁度17日の朝日新聞の17面に五段抜きのミャンマーの記事が載っていました。テインセイン全大統領の退任後の初めてのインタビューということでした。
課題、問題といえば、如何に軍事政権の頃の負の遺産を法律も含めて民主的に変えていくのか等、まだまだこれからのようですね。また、私はまだ行ったことはありませんが。
Commented by kienlen at 2017-02-20 18:02
junさん、この本は反朝日本のひとつって感じでしたね。軍事政権は賛美。イギリスの植民地統治の方法として少数民族を上におくので軍事政権で抑え込んでいないと分裂してしまうというのは、まあ分からなくないなと思いました。日本はこの点シンプルなので少数民族問題は実感として分かりにくいのではないでしょうか。その朝日の記事は読んでないのですが、その点はどういう視点なんでしょう。イギリス式統治ではさらにインドからの移民を入れてますし、イスラム教徒の問題は今まさに真っ最中ですしね。
by kienlen | 2017-02-17 08:22 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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