『日本のムスリム社会』

友達から借りたこのちくま新書を、外出の多くて落ち着かない日々の中でちょっとずつ読んだ。2003年の発行ということは、時々の政策やら国際関係やらによっても変化の大きい外国人事情が現状と同じはずはないと思われるが、日本の中のムスリム社会という、私たちには見えにくい部分についての基本を教えてくれている点でありがたい内容だった。基本に触れておくと、何かあった時の理解がしやすくなる。著者はこの間の講師だった桜井啓子さんで、イランが専門。その時の話、それから自分が多少は知っている日本のタイ人社会、そしてパキスタン人の知り合いや、ムスリムと結婚して改宗した友人などを思い浮かべたり比較したりしながら読んだ。

フィールドワークではあるが、ノンフィクション作家のような文体や構成とは違って学者さんのそれ。誰かにスポットをあてて物語的にしたり、とにかく読んでもらう工夫をする、みたいなところはあまりなくて、でもあくまで一般向けを意識している、という感じで、構成は、まずモスクという現場の風景で導入、続いて日本で働く・学ぶ、故郷の事情…と、項目ごとに説明している。私が一番面白かったのは、最後の章の「日本社会とイスラーム」かな。そういえば以前、イラン人と結婚して子どもがいて、給食の献立に目を光らせていて、食べられない時は弁当持参という日本人女性に会ったことがあった。もうあれから20年近くになるのだから、その子も成人しているのだろうけど、どう育っているのだろうか。公的な領域は男が中心で親権も男と決まっているあたりは、日本人との親和性が低いように感じつつも、女は男に守られる存在であるというのは、タイ人よりも馴染みやすいかもと思ったり、基本的なことが色々説明されていて面白かった。

by kienlen | 2017-02-10 21:26 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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