灼熱

映画の安い日。クロアチア紛争が重要なテーマであるらしいこの映画を観に行った。観客は自分含めて2人。クロアチア紛争についてはセルビアの花と、あとタイトルを忘れたがドキュメンタリーを見たことがあるくらい。確かこれらはそうだったような気がするが…。で、この映画はひたすら恋愛にテーマを絞ってあり、社会的な事情は遠景で説明はほとんど全くなし。それなのにヒシヒシと迫ってくるものがあり、私は大変良かった。しかし起伏のある大作が好きという人には退屈かもしれないなと思いながら見ていた。構成が複雑で、始まりは1991年の紛争始まり直前。だからユーゴスラビア時代ということになるんだろうか。説明はないのだが、つまりクロアチア人とセルビア人の若いカップルが悲惨な形で引き裂かれる。この紛争の背景には民族、宗教などがあり、それにバックに大国がいたりで複雑なのだと思うが、とにかく説明はなし。

衝撃的な形で一話目が終わり、悲惨なのに明るい音楽が流れて時代は一気に10年後へ。女性の方は一話目の続きらしく、紛争が終わったので破壊された家に戻ったということのようだが、どうなんだろうか。男性は一話目で死亡しているのだけど、同じ役者が別の人物を演じているのが、なるほど、不思議な効果。二話目は紛争によって深く深く皆が傷ついているということがものすごい言葉少なな表現ながらぐっと迫ってくる。ちょっとつついたら果てしなく噴火が続きそうという感じ。三話目が2011年。これはもう一見どこも同じなのね、という若者の生態の中に、一話目からの続きのような、独立のような、ま、そんなこと考えることでもないというようなタッチの展開となる。やはり同じ役者が演じているので、話は違うのに連続性を感じてしまう。最後はうんうん、という感じの終わり方。表現がアジア的というか、中欧のあのあたりは行ってみたいと思っているけど、ますます行ってみたい。地獄を見た人が人間の核心だけ描けばこうなるという感じというか、とっても良かった。

by kienlen | 2017-02-01 22:48 | 映画類 | Comments(0)

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