『永い言い訳』

何の本が娘の所に行っているか分からずだぶっても困るので読まないのは持ち帰るように言っておいたら、こちらの意図は伝わらず全然意味不明の文庫本5冊が戻って来た、というか娘が読み終えてかつ再読はしないだろう本の新規参入というか。その中の1冊が西川美和のこれ。ずっと前に「ゆれる」を見た時、これはすごいと本当に感動した。あれでオダギリジョーが好きになり、彼が出ているというだけで見に行った映画もあるが、ゆれるはずっと良かった。監督がこの方で、すごい才能と思ったことは今もよく覚えている。ただ、その後で西川監督というだけで夢売るふたりを見ようと思って見損ねて劇場じゃなくて何かで見たのだが、そのせいかどうか分からないけど、これは好きになれなかった。環境は大きいので映画館だったら違ったかもしれないけど。で、本は読んだことがなくてこれが初めてだ。まさか今の時期に読むわけにいかないが、まあちょっとだけね、と数ページで我慢していたのだけど、それではおさまらずに今日は朝から仕事もしないで読んでしまった。がっくり。

誰か読んだ人がいたら話したいなと感じる本だった。人物造形がものすごく分かりやすい。動作や周辺環境もすごく詳細で、映画の場面を説明されているような感じ。まあ、映画を作る人なので当然かもしれないけど。そうそうこの映画も気にはなっていたのに、行かれなかった。これを読んで映画を見たくなるかというと、うーん…。10歳若かったらもっと感じるものがあったかもしれないと思わなくもない。今もなくはないけど、さすがにここまでくると、こういう瑞々しさっていうか、つまり瑞々しくなさそうでいて瑞々しいみたいなのが、ちょっとね、という感じかな。主人公の性格はすごくよく分かる気がする。あと子どももとってもリアルに感じたし他の登場人物も違和感なし。心の動きも行動も不自然さを感じなかったけど、かといって手放しにすごく良かった、感動したと言えない感じはやはり歳なのか、何なのか、ということを誰かと話してみたい感じがする。構成も登場人物の数も複雑じゃないのでひじょうに読みやすく、誤読もなさそうなので感想を話し合うにはふさわしそう、と、ひとりで思っている。

by kienlen | 2017-01-09 13:42 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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