『俺も女を泣かせてみたい』

この間図書館をブラブラしていて小谷野敦のこの本が目に入った。思惑にはまってタイトルに惹かれたのと、この著者の本は多分3、4冊読んでいると思うけど、結構面白かったなというイメージだったのと、何よりも出だしに掲げたタイトル「私は『自己嫌悪』が分からない」に、ギャーっと思ったからだ。もうそのまんま同感な文章が続くエッセイ集。発行は2004年で、へえ、筑摩書房。2000年から2004年にかけて色々なメディアに掲載したものに加筆訂正したものと書下ろしの両方を収めているそうだ。図書館で借りるのって難しいのを選んでも結局読み切れないことがほとんどで、今回はいい加減それに学んで軽く読めそうなセレクションにして、その中でも特に軽そうなこれをまっ先に読み始め、短いエッセイなので寝る前にボツボツいこうと思っていたら面白すぎて止められなくなった。

知識教養がすごいので、なるほどーなことばかり。それに目の付け所が分かるなあというものばかり。中国をシナと呼ばない理由というのは、私も、その一般的に言われる理由では根拠が薄弱ではないだろうか、英語はチャイナだしタイ語はチンだぞとどこかで思っていたので、そうだよね、こういう疑問抱いてもいいよね、とすっきり。で、話の発展のさせ方も面白かった。芸能界で時間を問わずにおはようございますの挨拶をするのはなぜかの考察も、いやはや面白かった。大河ドラマのキャスティング考など、大河ドラマも見てないし役者についても知らないのになぜか面白かった。大笑いした項目もあり。この間、荒川洋治講演会に行った後、友達が彼の本を買いあさって読み漁っているが、どのディテールに目がいくかの共通点があるんだろうと感じていたけど、私は小谷野氏の関心の方面には大変共感だった。おもしろくてためになった。すぐ忘れるのがもったいないけど。次は動物農場についての解説本にしよう。

Commented by jun at 2016-12-24 01:19 x
いつも面白い情報を有り難うございます。また「人間の値打ち」はご推薦の通りとても面白かったです。kielenさんの感想のようなことも感じました。映画のタイトルは当然喩え、メタファーだと思ったところ、補償だといくらだとお金に換算される落ちもありましたね。オープニングは何故か事故を予感させ、セレブと破綻しそうな人間関係や欲、愚かさ、その中での誠実さ、滑稽さに加え、現代の人間の病理とも言える投資ファンドに絡め取られていく様、特に自分の町の破綻に懸けて儲けようとする現実にはっとさせられました。どれも他人事でなく少なからず感情移入しました。同じ場面を異なる視点から繰り返す謎解きも面白く、最後は絵を描く少年が死ななくて良かった、と救いがありました。その他の感想はまた。
Commented by kienlen at 2016-12-24 09:47
> junさん
それは良かったです。私も最後の場面に救われました。次はPK。時間が厳しい…。
by kienlen | 2016-12-23 19:26 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
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