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『脂肪の塊』

図書館に行こうかと思いながら、やはり仕事しないとと思い直して家に戻ったら図書館から返却の催促メールがきていた。それで出直して図書館へ。4冊借りて戻ろうとして、ふと脂肪の塊を思い出した。読みたいと思って読んでない必読本。家にあったような気がして探さなくちゃと思って延び延びになっている。図書館でいいじゃないか。古い全集のモーパッサンに入っていた。と、社会人用の机にいた2人が去ったのでちょっと椅子にかけて読んでいくかと開いたら、もうあまりの面白さに読みふけってしまった。人間の本性も戦争の本質もくっきり。すごく短くてすごい濃厚。

普仏戦争中、馬車に乗り合わせた中・上流3カップルと修道女2人と共和主義者1人と娼婦1人。もうこれだけで何が起こりそうかイメージできるが、そして期待を裏切るわけではないが、ストレートに引き込まれる。状況が浮かんでくるリアルな描写。この中でバカをみるのはもちろん最下層の娼婦に決まっている。食べ物を分け与え体を分け与え、それなのに最後の涙までがさげすみの対象に。1880年の小説。若い時、読むべき名作というのを読んでなかったのが幸いで今になって感動できて良かった。もっとも、読み直しだったらもっと良かったかもしれないが。はあ、素晴らしい。素晴らしすぎて仕事は全くできなかった。

by kienlen | 2016-12-21 21:32 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたりタイに住んだり戻ったり旅したり


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