『対岸の彼女』

初めての角田光代作品。友達が、この作家の中ではこれをぜひ、ということで勧めてくれたもので、大衆小説は読みやすいので他をおいてさっそく読んだ。その友人とは趣味が合う方と思うので期待したのだが、うーむ、正直なところ、何がいいのかほとんどまったく分からず、何だか元気をなくしながら読んでいたように思う。状況的にも息子が突然帰省したり、帰省のあり様がとんでもなかったりというのが挟まっていて気分が滅入っていたのもあるが、それがなくても近い感情になっていたと思う。学校でのいじめ、家族、学校や職場での人間関係、子育ての悩み、夫の無理解、義母との問題といった女の世界の諸々が書いてあった。そう考えると、多くの共感を呼ぶのはなるほどと思わないでもないが、こんな風にステレオタイプに悩むんだろうか、というのがちょっと分からなかった。細部でひねらず構成でひねってあるのも、好みからすると逆の方が好きかも。

そもそも私自身が、ここで扱っているような類の問題を経験していない、わけでもないが、このような捉え方をしていないのでリアルに感じられない。マスコミ報道等ではよく聞く話だが、どこらへんに真実があるかが本当のところは分からないし、というか、そんな単純な問題に思えないので、小説の中でストレートに扱われてもな、みたいな。むしろ少しずらして表現してもらえると、読む側が自分なりに微調整して焦点を合わせられるんじゃないかという気がする。まあ、このあたりは好みの問題が大きいのかもしれない。ベタで分かりやすい方がいい場合もあるだろうし。これを読みながら奥田英朗の沈黙の町でを思い出していた。ちょっと似ているなと思って。でも奥田英朗のは好きなのはなぜだろうか。社会背景への言及の有無とか、そのあたりかもしれない。ここまで女の世界で完結できるって、ある意味すごいなあ。逆にいうと、自分はそういうところから逃げてきたのかもしれない、直面しないで。と考えるといい本だ。友達はそのあたりで勧めてくれたのかもしれないと思ったりもする。

by kienlen | 2016-12-11 22:03 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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