自分の好みと相手の好み

先日の娘の音楽会の日、彼女の祖父母、私からすると父母に会場で会った。学校のすぐ近くに弟の家があって、その家は二世帯住宅になっていて、どうやらその日はそこに泊まる様子。音楽会は午前中で終わり。「寄ってお昼でも食べてく?」と母に言われた。毎度言われるが毎度断っている。母とは相性が多分よくないのだろう。一緒にいると落ち着かない。しかし、さすがにもう共有する課題が何もない中で、喧嘩するエネルギーもネタもないし、ちょうど昼食の場所を思案していたところなので、珍しく寄ることにした。あり合わせの簡単な食事の後、母がお茶を淹れようとした。ヤカンの前で沸騰を待つ母に向かって、父が「そんなに熱くするなよ」と言う。「だって一旦は沸かさないと」と母。私が彼らと同居していたのは中学までなのに、このシーンは何度も目にしている。ということは、30年以上も同じことを繰り返しているということ!

父は猫舌で熱いのが苦手。母は熱いのが好き。ここでバトルに…なるわけない。父は、相手を従わせようというタイプでもないし、お茶など自分で淹れる。母も、あの時代の女の標準として、男をたてると口では言いながら、実行できるタイプではない。味の好みは今も異なるようだが、それぞれが作るので、どっちかが一方的に我慢するということはない。こんな当然のことを、たかだかお茶で思い出したのは、30代後半の独身男性のある強烈なひと言が今だに忘れられないから。結婚生活についての質問として、彼はこう聞いた。しかもごくマジメに。「味噌汁の味付けの好みが(夫婦で)違ったら困らないですか」と。心優しい彼は、多分妻になる人に自分の好みを押し付けるのはいけない、と分かっているのだろうが、そこから先が分かっていないのだ。「自分で好きな味に作ればいいでしょ」と言ったら、驚いていた。ここで驚く人がいるのだということが驚きだ。そんなんで結婚をためらうならもったいないことだ。
by kienlen | 2006-07-02 19:08 | 男と女 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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