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カティンの森

ポーランドのクラクフに泊まりアウシュビッツに行った帰り、ガイドさんがアンジェイ・ワイダ監督の記念館みたいなのがあると教えてくれ、立ち寄りたいと言うと娘がホテルに戻りたいといい、じゃあいったん戻ってひとりで行こうと思ったが止めてしまったのを後悔している。それは日本のお金で建てられたものだと言っていた。灰とダイヤモンドと地下水道は昔見たことがあり、内容を忘れているし若い時では理解も浅いだろうから、今もう一度見たいかというと、あまりに絶望的で見たくないという気がする。このカティンの森はそのワイダ監督の80歳の時の作品だそうだ。レンタルショップでたまたま見つけて借りた。何といっても舞台がクラクフなので。

ドイツとロシアに挟まれたポーランドの悲惨な歴史の象徴のひとつの残酷な事件と、その後の悲惨さをも描いたもの。カティンの森の事件とは、第二次大戦中にロシア軍の捕虜になったポーランド兵士2万人が森の中で虐殺されたというもので、その後の悲惨さは、ポーランドを占領したロシアが、その事件をナチスの仕業ということにしたこと。このウソをウソと知りながら事実と偽ることができないと体制に順応できず、生きのびることもできない。ポーランドに自由が訪れる日なんてないのだからとウソに順応しようとする姉と、真逆をいく妹のシーンも本当に辛かった。残酷な物語を美しい映像で。すごく良かった。

by kienlen | 2016-09-06 23:56 | 映画類 | Comments(0)

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