善き人のためのソナタ

DVDも週に何本か見れるようになったのでメモが間に合わない。とりあえず昨夜はこれを見た。理由は娘の最近のイチオシだから。誰が見ても好きだろうという評価だった。そこから、残酷な場面はないだろう、終わりはハッピーだろうと想像した。それはまあはずれてはいなかったが、ヒューマンドラマとはいえ東ドイツの監視社会におけるそれなので、直接暴力的なシーンがなくたって充分にイメージできてしまうので怖い。主人公はシュタージと呼ばれる国家保安省職員。シュタージはこのまま固有名詞として訳されずに使われている。秘密警察みたいなものか。狙った獲物は絶対有罪にするという強力な信念の持ち主で、つまりある意味誠実というか職務に忠実なのだが、この男が大人気の劇作家とその彼女である女優を監視することになる。留守の間に監視カメラを室内に仕掛けて生活まるごと24時間徹底的に見張り、行動や会話をレポートにする。

アパートにはアーチストが出入りし、表現の自由のない社会での創作の苦悩が伝わってくる。と、弾圧されていた先輩演出家が絶望して自殺。これをきっかけに何らかの形で体制を揺さぶろうとする仲間たち。シュタージは一部始終を知ることになるが、だんたん彼らに感情移入していたことと、体制側のシュタージ仲間や上司の腐敗にもうんざりする潔癖性からこっそり彼らを匿うというか、偽りの報告やら、命がけでそれ以上のことをして結果的に彼らを救うことになる。監視が成功しなかったことから閑職に追いやられるが、多分命も危なくなると思われる行為まではバレず、遂にベルリンの壁が崩壊。それにしても自分の命がなぜ助かったのか分からない劇作家は調査に乗りだし、感動の最後となる。権力の恐ろしさと、それでも希望を捨てないことの強さと運の不思議。これらを感じない人はまずいないだろうと思うので、誰にも訴える正攻法の面白さだった。

by kienlen | 2016-09-04 19:16 | 映画類 | Comments(0)

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