ブンミおじさんの森

光の墓の監督がこの映画でとても評価が高いようだ、ということだけは知っていた。これ、劇場公開の時に確か見逃してしまいひじょうに気になっていて、かといってわざわざ探すほどの情熱はなく、何となくレンタルショップをブラブラしていたらあったので、おお、と思って借りてきた。光の墓同様、音楽はないし、盛り上がりはないし説明的なところないし、美男美女でないし、よくこういうのつくるなあ、しかしなぜか飽きないし好きだ、惹き込まれるのはなぜ、誰か教えて欲しい、というのが両者に全く共通の印象。しかも言葉がタイ語ならまだしも、イサーン語ではありませんか。この姿勢、すごいと思う。それにしても、当然ではあるが、やはり劇場で見たい。DVDだと分からなければ見直せるという利点は大きいのだろうけど、自分にそういう習慣がなく、そして家で映像を集中して見る習慣がついてないのは痛い。よって、分からないままに見たという感じ。

それでも光の墓よりはこじんまりしていて生身の人間の登場人物ごく少なく、それは分かりやすかった。すごい田舎の村の住民で透析の必要なのがタイトルにもなっているブンミおじさん。そこに亡くなった妻の妹、つまり義妹とその息子が一時的なのか一緒に住んでいる。この息子はタイ語の方が得意であるらしい。と、食卓に死んだ妻がスッと現れる。さらに死んだ息子は猿のような姿で現れる。みんなが、ああ来たのね、という風に懐かしがる。色々な外国人と接していた知り合いがタイ人について「受容的」と表現した時、言い当てていると感じたのを覚えているが、それを思い出した。お猿さんの方はいつの間にか家からはいなくなるが、後に森の中に現れる。妻の方は透析を手伝ったりして普通に馴染んでいる。最後は森の中に入って行って終わりかと思ったら続きがあり、本当の最後に音楽が入るのだが、これも映画音楽にはしたくない、みたいなポリシーが感じられるというか。輪廻転生が軸になっているようだが、いかにもタイみたいなシンプルな面白さがあった。生と死の話なのに深刻ぶってないのがいかにもで、結構笑ってしまった。この境界線のなさがいい、こっそり好きに入れておく。さわやかの対極なのに後味すっきりって不思議。良かった。

by kienlen | 2016-08-19 12:02 | 映画類 | Comments(0)

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