『火車』

初めて宮部みゆきを読んでみた。娘からもらった文庫本にて。彼女は子どもの頃から宮部みゆきをいくつか読んでいて、その都度、巧いけどネチネチしていて好きにはなれない、みたいな曖昧な感想を述べていた。しかし図書館の先生とか国語の先生とかにファンは多く、特にこの本は絶賛されているとのことで読んだそうで、その影響かどうか絶賛だった。今の時代だからこそ読むべきみたいなことを言っていたのでどんなかと思って読み始め、結局昨日はゴロゴロしながら1日中これを読んでいた。つまり何もしなかった。本は人を怠惰にする代表であると今さらながら思う。暇なので料理しよう、縫い物しよう、編み物しようと図書館から関連本を色々借りてきたのだが…、ウチにもたくさんあるのだが…。小説は、特に面白いミステリーは、途中で止められなくなるという問題を解決できない。

平成4年の刊というから結構古い。扱っているテーマは多重債務。それに苦しめられて育った美しい女性が主人公、なのかどうかちょっと分からないけど、姿は見せないこの女性を追いかける物語。逆に言うと逃亡物語。当時とは経済状況も法律も変わっていると思うけど、充分面白く読んだ。人物設定がリアルなのでどの人にも感情移入できて、おかげで読み終えた夕方にはすっかり気分が暗くなり、娘と食べたタイ料理を美味しいと感じられず、ビールを飲んで戻って早々に寝てしまった。暗い想像ばかり膨らんでますます暗くなり、この世の終わりの感じになってよく眠れず、しかし朝になったら、いつものように、ま、いいか、となってオリンピックを少し見た。微細から人間心理にもっていく描写とかつなげ方のスムーズさとか登場人物少なくないのに分かりやすいとか、全体に巧みな技って感じで違和感なしに物語世界に入れた。最後は活字だとすっきり感がないけど映像だったら美しく盛り上がりそう。



by kienlen | 2016-08-11 08:14 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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