『トラフィック』は面白かった

『トラフィック』という映画をDVDで観た。これはすごい映画だった。最近の中では一番。メキシコとアメリカと舞台が短時間に切り替わりながら、麻薬の運び屋組織とそれを取り締まる側の攻防がひとつの筋だが、巨額が動く闇の世界であるから、本当の黒幕が誰かが見えにくくなったり、金で裏切る者あり、裏切られる者あり、殺し、殺され、取り締まりを率いる将軍が実は組織の親玉だったり、と人間模様は複雑。その上、麻薬撲滅に乗り出したものの、父の知らぬ間に娘が中毒になっているという家族内の問題あり、夫を逮捕されて泣くばかりだった妻が、運び屋組織と渡り合ったりと、何本かの筋が、最初は別々に進行しつつ、すごく巧妙にまとまってくる。これ、少し酔っ払いながら観ようとしたのだが、いきなり引きこまれて、ちゃんと観るべきだと思って昨夜改めて真剣に観た。ドキュメンタリータッチの映像も凝っていて、早すぎず遅すぎない展開といい、シンプルではないが、かといって理解できないほど複雑ではないストーリー、人物描写といい、長いが全く飽きないどころか、終わった時には、もっと続けてくれ、と思った。

これを観ながら、タイで暮らしていなければここまで真剣になっただろうか、と考えた。一大麻薬供給地の黄金の三角地帯を有するタイでは、麻薬は身近である。長距離運転手が使っているのは知られているし、タクシーに乗って、それらしき雰囲気を感じて、臆病な私は降りたこともある。学校の教師が生徒に売っているとか、この問題抜きにタイ社会は語れない。私が在タイ中に、首相に決まりかけた人物がアメリカの麻薬のブラックリストにのっているとかで降りたこともある。この間失脚したタクシン首相はこの問題に取り組んだことで評価されていたので改善したのか、どうか。タイ人と話していると、家族や親族に、逮捕者や死者がでるなどのドラック問題を抱えている人も多い。陸続きの国境は海を越えるよりトラフィックがスムーズで防ぐのが難しいことや、メキシコの警察や軍の汚職はタイを経験すると想像が容易。何もかもがリアルで、だから怖かった。ドラックは日本でも身近になってきている。密度の濃い映画で、正規料金払っても映画館で観たかった。
by kienlen | 2006-06-18 12:01 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31